豊かな食事と高度な医療によって、これからは人生100年時代といわれています。ですが、豊かであるがゆえに、飽食や過剰な情報によって、体や心にストレスを受けやすい世の中でもあります。自分に必要なものを上手に選択して、ストレスを減らし健康的に生活をしたいものです。
しかし、食事や情報(内容・量)を選択する必要性や、日々体や心に目を向けることが大切とわかっていても、とりあえずいつも通りの生活をしているというのが現状ではないでしょうか。
肩こりや目の疲れ、怠さ、やる気が起きないなど、ちょっとした疲労や痛みをおざなりにしていませんか?それらは体や心にトラブルを起こさないための大切なサイン(ホメオスタシス)です。
疲れているのは当たり前という考えが蔓延し、ケアするどころかゆっくり時間を取ることすらできない、または、しないという方も多いように思います。もしくは、熱中するあまり疲れに意識が向けられないということもあるようです。
そして疲れは症候群のため、原因はさまざまですが、過剰な情報や考え過ぎなどのストレスから脳に負荷がかかり起こるということが近年わかってきました。
小さなトラブルが蓄積していくことで、不調や病気につながります。ちょっとした変化に気づくためにも、また脳をリラックスさせてあげるためにも、体や心に目を向けるアーユルヴェーダのセルフケアを習慣的に行うことををおすすめします。
アーユルヴェーダのセルフケアにはどのようなものがある?
セルフアヴィヤンガ (オイルの全身ケア)
朝や夜の入浴やシャワーのまえに、頭、耳、足への3点オイルマッサージを毎日することがすすめられています。全身にオイル塗布できるとなおよいです。セサミオイルまたは体質に合わせたハーバルオイルを使用し、心臓から末端に向けて心地よい圧でマッサージしていきます。疲労や不眠、頭痛のトラブルがある方に特におすすめです。
ガルシャナ(乾燥マッサージ)
オイルケアのまえに行う乾燥マッサージです。末端から心臓に向けて皮膚を痛めない心地よい圧や時間でマッサージを行います。滞りを取り除き、体の働きを活性化します。代謝が上がるため痩せたい人、冷え性の人におすすめです。絹の手袋を使用するため皮膚への親和性がよくストレスがあまりかかりません。
ナスヤ(オイルの点鼻)
おもにアヌタイラという点鼻専用のオイルを使用し、行います。スポイトに入れたオイルを鼻孔から点鼻する浄化法です。鼻づまりや乾燥、花粉やウィルスの侵入を予防し、頭の働きを活性化させます。オイル点鼻が難しい場合は綿棒にオイルを浸し鼻孔に塗ることで花粉予防にもなるといわれています。
ガンドゥーシャ(オイルのうがい)
オイルを口に含んで行う浄化法です。歯磨き、舌清掃後に行ないます。口腔内を浄化し歯茎を丈夫にします。口臭予防にもおすすめです。
オイルの点耳
耳にオイルを入れるのは難しいため、綿棒にオイルを浸し耳の穴に塗布したり、耳の周りをオイルでマッサージしたりします。慌ただしさや疲れがある場合には耳にオイルを塗ることで落ち着くことができます。旅行など移動が多い時や仕事が忙しいときなど、あらかじめ予防として使用することもおすすめです。
オイル(ギー使用)の点眼
眼精疲労など目の疲れにギーのオイル点眼。
などがあります。
※アーユルヴェーダのセルフケアに慣れていない方・不安な方や、初めての方、持病がある方は、必ず専門家の指導を受けて行ってください。
アーユルヴェーダのセルフケアにはどんなメリットがある?
オイルを使ったセルフケアにはデトックスと抗酸化の働きがある
セルフケアに使用するオイルは基本的にはセサミオイルです。アーユルヴェーダにおいてセサミオイルは体に使用するオイルとして最も優れ、体を丈夫にし、痛みを和らげ、乾燥を防ぎ、神経を穏やかにし、老化を防ぐといわれています。
セサミオイルはリグナンという抗酸化成分が入っています。また、ビタミンEも含まれるため、相乗効果としてとても強い抗酸化力があります。老化や病気の原因が活性酸素にあることが最近わかってきました。ですので、日々のセルフケアにセサミオイルを使用することで、老化や病気の予防になると考えられます。また、抗酸化の働きは代謝を高め、体の働きを活性化させます。全身に栄養が届けられることでメンタルへもよい影響があると考えられます。
肌に触れるタッチングによってストレス軽減の働きがある
アーユルヴェーダでは皮膚全体に心が広がっており、触覚機能と心とは不可分な関係であるといわれいます。それは皮膚へのケアは心に影響するという意味になります。
タッチングはストレスを緩和するといわれますが、皮膚へ直接刺激を与えることでセロトニン神経を活性化させストレス解消させる働きがあるからです。ストレスがかかった時腕をさすったり、両手を握りあわせることがありますが、それらは自然誘発的にリラックスしようとしているのです。
毎日習慣的にセルフケアを続けることで、1日のストレスを緩和し、緊張が緩みリラックスできれば、痛みが和らいだり、睡眠の質をよくしていくことができます。
マインドフルネス的働きがある
マインドフルネスとは自分が存在する瞬間(今)に入り込み意識を開く。または、注意を集中するということです。今という瞬間の中に集中できることで、心身をリラックスさせ、ストレス耐性をあげることができます。
ですが、多くの人が今という瞬間の中に集中することが難しく、過去への後悔や未来への不安の中で、現在不在の状態で生活しているといわれています。そうすると、心身へストレスがかかり、いつも疲れていたりやる気のない状態になってしまいます。
また、体がどう感じているかについても、意識を向けられなくなります。そのため、体が環境や行動、考えや感情にどれだけ影響を受けているかわからなくなり、自分の体をコントロールすることが難しくなります。
マインドフルネスは何か特別なことのように思うかもしれませんが、生活の中で普段体験しているものです。たとえば、食器を洗う、掃除をするなど、日常の行動に落とし込むことが可能です。アーユルヴェーダのセルフケアを日々の生活に取り入れるとき、体や心に意識を向け、瞬間の中で集中することでマインドフルネス的な働きがあります。
今の瞬間に集中することは脳の疲れを取ることに役立ってくれるということも最近の研究でわかっています。今の瞬間の中に集中するということは、それ自体がストレス対策になるということです。
そして、脈や気分、体の状態に目を向けることよって、不調に気づき対策を考えることができるようになります。
【まとめ】いま、アーユルヴェーダのセルフケアがおすすめなワケ
現代は医療の進歩で寿命は延びましたが、生活の質をよくするかどうかは日頃の過ごし方が影響します。もし、長生きできても不自由であっては楽しくありません。
セルフケアを習慣的に取り入れることで、自分を知るための時間を作ることができます。病気になるまえに早めに不調に気づき、生活習慣などを改善していくことで状況をよくしていくこともできます。
また、日々ケアしてあげることで体の働きを整え、ストレスを溜め込まない健康的でしなやかな心や体を作っていくことが出来ます。
長い人生を楽しくいきいきと生活するために、アーユルヴェーダのセルフケアを取り入れてみてはいかがでしょうか?
2020.03.24
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参考文献:
インドの生命科学アーユルヴェーダ 上馬場和夫・西川真知子 著
すべての疲労は脳が原因 梶本修身 著
マインドフルネスストレス低減法 j.カバットジン 著 春木豊 訳
アーユルヴェーダセラピスト。
日本アーユルヴェーダスクール認定
アーユルヴェーダ・ライフスタイル・カウンセラー、アーユルヴェーダ・ヘルス・コーディネーター、アーユルヴェーダ・ヒーリング・コンサルタント。
米国補完医療大学Ayurvedic Medicine Practitioner、IPM認定ヘナインストラクター、南インド・ケララ州 アーユルヴェーダガーデンにて施術研修を受ける。
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