アーユルヴェーダをはじめとする伝統医学とも関わりの深いアロマテラピー。アロマテラピーは、天然の精油を使って気持ちをリラックスさせたり、香りを楽しんだりしながら日々の暮らしに潤いを与え、また心身の健康と美容を促すもの、と「伝統医学とアロマテラピー」でご紹介しました。
そこで、今回は、アロマテラピーについての正しい知識を身につけるために精油の選び方やアロマテラピーを行うときの注意点を説明しています。日常的に精油を使っているという方も、ぜひ復習として参考にしてみてください。
精油の選び方には必ず確認して欲しい情報がありますし、アロマテラピーを行う上で事故のないように、使い方にはいくつか気をつけて欲しい点もあります。
香りのある暮らしを楽しんでもらうために、アロマテラピーを実践する上で注意して欲しい点についてまとめました。これからアロマテラピーを始めてみたいと思っている方には必ず知っておいて欲しいことばかりです。
精油の正しい選び方
精油は天然100%であることが絶対に外せない条件です。
また、信頼できるメーカーの精油には、必ず以下の情報が明記されています。
- 学名
- 科名
- 抽出部位
- 抽出法
- 産地
どのような精油なのかを知るために必要不可欠な情報であり、どれが欠けてもダメなのです。
天然100%のものを選ぶこと
精油は植物から抽出したそのままの状態で使うことが大切で、何かを加えても、引いてもいけません。
肌に刺激のある成分を取り除いたもの(フロクマリンフリーなど)もありますが、厳密にいうと精油ではなくなってしまいます。
- ポプリオイル
- フレグランスオイル
なども、精油とは違いますので、混同しないように注意してください。
精油は正確にいうと「エッセンシャルオイル」ですので、「アロマオイル」と書いてある際は、本物かどうか、学名などの表記を必ず確認してください。
学名が表示されていること
学名は、その植物を特定するための手がかりです。ラベンダーやローズマリー、ユーカリなど品種の多い植物は、学名がないとどの種類か特定ができません。
学名はラテン語で表記される世界共通の名前で、ひとつの植物(品種)にひとつの名前が付けられています。
抽出部位が表示されていること
同じ植物でも精油を抽出する場所によって、成分の比率が違ってきます。当然、香りも効能も違います。
たとえば、ビターオレンジの木からは3つの精油が採れます。
- 果皮からはビターオレンジ
- 葉からはプチグレン
- 花からはネロリ
同じ木から採れるということは、この3つの精油は学名が同じだということです。しかし成分は全く違いますから、学名だけでなく、抽出部位も見なければ、どの精油か特定できないのです。
抽出法によっても成分が変わる
抽出法の違いも成分比率に変化を及ぼします。
たとえば、多くの精油に用いられる水蒸気蒸留法ですが、水と分離させることで精油を得る方法ですので、水に溶ける成分はわずかに少なくなります。
有機溶剤抽出法では水を使いませんので、水に溶ける成分も含んで抽出できます。
ローズ・オットーは水蒸気蒸留法、ローズ・アブソリュートは有機溶剤抽出法なので、ローズアブソリュートにはフェニルエチルアルコールがやや含まれており、香りもやや濃厚です。
同じ植物を使っても、抽出法によって香りが違うので、必ずこの点も確認してください。
産地でも変わる香り
同じ植物でも、栽培された土壌や気候が違うと、成分に違いが出ます。
フランス産のラベンダーとブルガリア産のラベンダーでは、香りの強さに違いがあります(ブルガリア産の方が華やか)。
同じぶどうでも産地によって香りが変わるワインのように、精油もその土地の風土によって微妙に香りが変わるのです。ですから、好みの香りを見つけるには、産地もよく見るとよいでしょう。
アロマテラピーを行うときの注意点
では、アロマテラピーを実践する上では、事故を起こさないため、注意して欲しい点がいくつかあります。
肌に直に塗らないこと
精油は高濃度のエキスですから、肌に直接に塗ってしまうと、赤みやかゆみ、痛みなどが出る場合があります。
セルフマッサージで利用するときには、必ず植物油等で薄めて使います。
濃度は1%が基準ですので、小さじ1の植物油に精油1滴の割合で使用します。
芳香浴は1~3滴くらいから
アロマランプなどを使って芳香浴を楽しむとき、初めて使う香りは1~3滴くらいから試してみてください。
精油によって香りの強さは違いますし、ジャスミンやイランイランなどの濃厚な香りはたくさん使うとかえって気分が悪くなることがあります。
飲用しないこと
精油は飲んではいけません。肌と違い、内臓は精油の影響をダイレクトに受けてしまいます。決して飲用することのないようにしてください。
火気に気をつけること
精油は「油」ではありませんが、引火性があります。キッチンなど火のそばでは使わないようにしましょう。
妊娠中、授乳中は使わないこと
妊娠中や出産したばかりは、普段と体調が違うため、好きな香りであっても気分が悪くなってしまうことがあります。
また、精油の中には女性の不調に働きかけるものもあり、妊娠初期には使用しないこととされている精油もありますので、妊娠中や授乳中は精油を使わないのが無難です。
病気の治療中は主治医に相談すること
香りを嗅ぐくらいでは特に大きい問題はないと思われますが、マッサージなどをしたい場合には、服用している薬に影響がないか、念のために主治医に相談してください。
小さい子どもやペットの手の届くところに置かないこと
精油ビンはとても小さいため、子どもが誤って飲んでしまったり、目に入れてしまったりする可能性があります。絶対に手の届くところには置かないようにしましょう。
また、猫や犬などを飼っている人も、誤って舐めたりしないように注意してください。
まとめ:天然のものだからこそ使い方には気をつける
アロマテラピーが天然のものだから大丈夫、安全というイメージを持っている方が多いのですが、天然のものだからこそ気をつけてほしい点があります。
正しく使えば日々の暮らしを楽しくしてくれるものですが、誤った使い方をすると肌を荒れさせてしまったり、気分が悪くなったりすることがあります。
天然100%の高品質な精油を選ぶとともに、正しい使い方で香りを楽しむようにしてください。
アーユルノート編集メンバーです。アーユルノートを通じ、多くの方と一緒にアーユルヴェーダについての学びを深め、アーユルヴェーダを実践中しています。メンバーは、アロマやメディカルハーブに造詣が深く、アロマ・ハーブについても発信しています。スタッフが実際に実践し、よかったこと・情報・簡単にできることを紹介します。
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