みなさんはアーユルヴェーダと聞くとオイルを額にたらーっと垂らすシロダーナを想像するのではないでしょうか。
※シロダーナとは、第三の目のマルマ(アーユルヴェーダでいう体にあるツボ)に継続的に薬草のオイルをたらす施術の一部で、心身の緊張を解きほぐしたり、ストレスを緩和するアーユルヴェーダの健康法。
アーユルヴェーダではシロダーナのほか、抗酸化作用のあるセサミオイルを使用して全身トリートメントやヘッドトリートメントを行い、また、食事や生活習慣を見直すことで自然治癒力や消化力を高め、病気になりづらい心と体を作るといわれています。
インド・スリランカ発祥アーユルヴェーダ施設ではアーユルヴェーダ医師のもと、体質診断、脈診、舌診などを行い、その人の体質に合う浄化法や、予防法などを踏まえたうえで、下記のような方法を行います。
アーユルヴェーダ施設(スリランカ)で行う代表的な方法とは
- 医師診断(脈診)(体質診断)
- アヴィヤンガ(全身オイルトリートメント)
- シロ・アヴィヤンガ(ヘッドトリートメント)
- ハーブやスパイスを体質別に食事や、外用などにとりいれる療法
- ハーバルバス・ハーバルボール(発汗法:スウェーダナ)
- シローダーラ(心の浄化)
- パンチャカルマ(心身浄化療法)②と③で基本的な毒素を取り除いたあとに、必要に応じて行うもの。例:経鼻法・浣腸など
- ヨガ・瞑想
今回はその中でも③の「シロ・アヴィヤンガ」についてご紹介していきたいと思います。
2020.05.10
「セルフアヴィヤンガ(オイルケア)に使用するオイルとやり方」
アーユルヴェーダとは「生命の真理」を意味し、人生を幸福に暮らすための方法が説かれています。その幸福な人生とは、ただ健康ということだけではあり...
アーユルヴェーダの「シロ・アヴィヤンガ」にはどんな効果があるの?
- 血液循環を促進
- 肩こり改善
- 緊張や不安感を和らげる
- 心のリラックス
- 神経系等の強化
- リフトアップ
- 記憶力UP
- 頭痛・片頭痛
- 眼精疲労
- 白髪防止
- 自律神経を調節する働き
- シワ改善
などと、アーユルヴェーダではいわれています。
シロ・アヴィヤンガをするメリットとは
頭には足裏と同じようにたくさんのツボがあり、トリートメント(注1)をすることにより、内臓機能を強化、脳機能を高めたり、体全体の血液循環をよくし、溜まった老廃物を促し、あらゆる不調を改善してくれるとアーユルヴェーダの教えでは伝えられています。
健康には欠かせない心と体のバランスを調節してくれるシロ・アヴィヤンガは、ぜひ毎日取りいれたいセルフケアのひとつです。
専門的な知識がなくてもお風呂あがりにボディローションを塗るようにリラクゼーション感覚で、毎日気軽にリラックスして行います。そうすることで効果も実感しやすため、ご自身でやるのもよし、パートナーと行うことでオージャス(注2)を増やし、さらなる効果も期待出来ます。
また、頭痛や肩こりの症状がある場合は、好きなアロマの匂いを嗅いだり、軽いストレッチやシロ・アヴィヤンガをするだけでも改善されることもあるので意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
薬に頼らず、ライフスタイルを見直すというのもアーユルヴェーダ的セオリーです。
(注1)トリートメントとは、アーユルヴェーダのマッサージのことをいいます。日本ではアーユルヴェーダのヘッドスパと呼ばれたりしています。
(注2)オージャスとは心と体のもっとも重要な生命力のエネルギーといわれており、免疫力、回復力、生殖、能力、長寿をもたらします。
シロ・アヴィヤンガだけで、女性に嬉しい効果がこんなにも!
女性に多い、肩こり・腰痛、年齢からくる自律神経失調症や不眠症などは、ストレスからくる血液循環が原因で招く、女性の代表的な症状です。
オフィスワークの座りっぱなしの姿勢や、それとは反対にずっと立ちっぱなしで仕事をしているとむくみやすくなり、ご自身でトリートメントをしたり、鎮痛薬や湿布などを使う方も多いのではないでしょうか。
アーユルヴェーダではシロ・アヴィヤンガを行うことで、毛細血管が活発化、全身の血液が体に巡り、体が楽になったり、目の疲れが緩和され視野もクリアになるとされています。その結果、張り詰めていた心の緊張から解放され、自然とリラックスすることで心地いい時間へと生まれ変わるでしょう。
また、「女性は髪が命」と昔からいわれています。
加齢で毛根に栄養が生きと届かなくなると、抜け毛や薄毛の原因となり、老けた印象にもなってしまいます。年齢に左右されないコシのあるつややかな髪に導いてくれるシロ・アヴィヤンガは女性にはとっても嬉しい秘訣です。
頭皮と顔は一枚の皮膚でつながっているため、シロ・アヴィヤンガをすることにより血行促進につながり、その結果むくみ改善やリフトアップし肌艶がよくなるといわれています。
スリランカに行くと、女性が長い黒髪でつややかでコシのある髪質をしているのは、もしかしたら昔からヘッドトリートメントの文化が引きつがれているからではないでしょうか。
女性ならここだけは絶対に覚えておきたい頭のツボ
著者作成
ひゃくえ(百会)とは
後頭部に位置する百会(ひゃくえ)は、左右の耳の穴を結んだ線と、頭の中央線に交わるところのややくぼんでいる部分。
PMS(月経前症候群)を和らげたり、自律神経やホルモンバランスを整えたり、更年期障害を和らげたり、本来自身が持っている抵抗力や治癒力をサポートしてくれる女性の味方の最強のツボです。
ワンポイントアドバイス!!
百会(ひゃくえ)に両手の中指を重ねたり、こぶしを握ってツボにあてるようにし、しっかりと押してみてください。ご自身が押して気持ちいいなと思う強さで5回程度押して、それを1日3セットから5セットを好きな時間に行ってみてください。
シロ・アヴィヤンガに適したオイルとは
著者撮影
シロ・アヴィヤンガに使用するオイルの代表的なものは下記の3種類になります。
日本ではなかなか手に入りづらいため、シロ・アヴィヤンガを行う際はセサミオイルやココナッツオイルの成分が含まれているヘッドトリートメント用のオイルや、スカルプ用のオイルをおすすめいたします。
※トリパラ・オイル(セサミオイルベース)
※ニールグンディ (セサミオイルベース)
※ニールヤディ(ココナッツオイルベース)
ヘッドトリートメントの注意点
- 生理中や頭皮に腫物や傷等ある場合はおやめください。
- 妊娠中はおやめください。
- 合わないと感じたら、やめてください。
自宅で簡単!ヨガをやるみたいにシロ・アヴィヤンガをしてみよう
まずは、ゆっくり深呼吸し、自分の呼吸に意識しながら心を落ち着かせます(この際、ヨガマットの上や、安定した椅子に座った状態で行います)。
人肌に温めたオイルを頭のてっぺんに塗布します(百会:ひゃくえ(上記画像参照))。
全体的に軽くトリートメントを4,5回したあと、両手10本の指をパーにし、両親指を両耳付け根の内側に軸を置きます。
軸はそのままで頭の計8本の指で頭を全体的に覆うようにして頭の上から下にマッサージするようにトリートメントしていきます(そのとき爪を立てずに指の甲で行います)。
はじめは、刺激を与える程度のテンポで行い、終わりになるにつれてゆっくりと行うことで、副交感神経が優位に働き、心と体の緊張がほぐれることでリラックスし、巡りがよくなっていきます。
※ヘッドトリートメントは、バスタイムの前にすることをおすすめいたします。
アーユルヴェーダのセルフケアで健康で若々しく快適な毎日を手に入れよう
アーユルヴェーダ的健康理論は、難しいことではなく簡単にいうと「おばあちゃんの知恵」にどことなく似ています。若いときには理解出来なかったことや、おばあちゃんからの助言など、自分自身が年を重ねてくると、「おばあちゃんがそういってたことが本当だったわ~」なんてことないでしょうか。
スリランカに行くと懐かしい日本を思い出させる風景や、生活習慣がいまだ残っています。便利な世の中になった今、スリランカのような生活をするのは難しいと思いますが、これからの時代はどれだけセルフケアができるか、またはセルフケアの仕方を知っているかで、自身の免疫力を高めることができると思います。東洋医学と西洋医学をうまく生活に取り入れ、今よりも快適な日々を過ごしていきたいものです。
健康で若々しく輝いた人生を過ごすためにもアーユルヴェーダの知恵はこれから先も受け継がれていくでしょう。
今回ご紹介したシロ・アヴィヤンガも毎日のセルフケアとしてぜひ、取り入れてみてください。
「継続は美なり」
きっと、数年後のご自分の姿に違いがあらわれるはずです。
参考資料:
『アーユルヴェータバイブル』上馬場和夫監修, アン・マッキンタイア 著
インド伝統医学で健康に『アーユルヴェーダ入門』上馬場和夫・西川眞知子著
『あなたのカラダに効くツボが必ず見つかる大事典』落合壮一郎監修
2021.05.23
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自然の中で過ごすAyurveda salon GOLDEA 代表 青木久枝、アーユルヴェーダライフアドバイザー。自身の病気をきっかけにスリランカアーユルヴェーダと出会い学ぶこと15年。その素晴らしさを伝えるため、三浦半島で「自然の中で過ごすアーユルヴェーダ」をコンセプトに悩める女性の不調を解決。極上セサミオイルを使用し、オールハンドでの全身マッサージは心から元気になると好評。アーユルヴェーダライフアドバイザーとしても活躍中。
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