【動画】心身のバランスを整える呼吸法~今だからこそ見直そう!深い呼吸の大切さとは?

ヨガ

私たち生命体は、呼吸をすることで酸素と二酸化炭素を体内外に出し入れしながら命をつなげています。しかもその行為は、意識をせずに自然と行っていて、普段から呼吸についてあえて考えようとはしません。

しかし、健康には深い呼吸が大切、健康増進のために呼吸を意識しよう、などテレビや本などでよく見かけませんか?

なぜ、呼吸が大切なのか?
呼吸を深くするとどうして健康増進に役立つの?

など、なんとなく疑問に感じていることを順に分かりやすく説明しながら、簡単な呼吸法もご紹介しています。呼吸が浅いという自覚がある方や、深く呼吸するのが苦手だと感じている方にも参考になると思います。

今だからこそ心身のバランスを整え「免疫力」に働きかけるヨガ的呼吸法を一緒に行っていきましょう。

バランスが崩れがちになっている現代人…

現代人は忙しいです。ひとつのことに集中して作業ができる環境に恵まれた人は少なく、誰しもがマルチタクスに追われ、やること、考えること、決めなければいけないことなどを抱え、一日があっという間に過ぎていきます。

目の前のこなすべき作業に手いっぱいで、リラックスする暇がありません。ホッと一息ついて体を休めていても、頭の中は考えごとばかりの状態になっていませんか。

そんなとき、体はどんな反応をしているのでしょうか?

体はやるべきことに備え、常に「ON(オン)」モードでいます。これは体を活動的にする交感神経が優位に働いているためです。交感神経が働くことで、私たちは日々の生活をエネルギッシュに過ごすことができるのです。そんなONモードの状態の「呼吸」は適度に活発で、浅くなっているのをご存じでしたか?

そして、活動を終えた夜は体は眠る準備をはじめます。心身の休息を促し、ゆっくりと副交感神経が優位になり、リラックスする「OFF(オフ)」モードへ切り替わっていきます。呼吸もゆったりと深くなり、心身を休める方向へと移行していきます。

この交感神経と副交感神経が交互に働き、バランスが整っている状態でいられると、心身の健康が保たれ、免疫力が正常に働くといわれています。

しかし、活動的な状態が一日中続くとどうなるでしょうか?
休む暇もなくずっと、忙しく過ごしている多くの現代人は、心身のバランスを崩しやすくなってしまっているのです。

自律神経の乱れは「呼吸」の乱れと比例する

前出にあった「交感神経」と「副交感神経」とは何のことでしょうか?

自律神経とは

自律神経は、交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれています。交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。これらが互いにバランスを取りながら身体の状態を調節していますが、このバランスが崩れることがあり、その原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、ストレスによる刺激、更年期におけるホルモンの乱れ(更年期障害)、先天的要因などが挙げられます。

現代人は忙しい毎日の中で、心身ともにリラックスすることがどうしても苦手です。環境や、生活の中で起こる心配ごとや将来の不安などに意識が向きやすくなるので、自律神経が乱れがちになっています。

わたしたち現代人の心身の健康を維持したいと考えたとき、まず行うことは意識的に自律神経のバランスを整えることではないでしょうか?そんなときこそ、「呼吸」が有効なのです。

呼吸とリラックスの関係

人間の一日の平均呼吸数は約「2万回~3万回」といわれています。1分間では「10~15回」の呼吸を無意識に行っています。また、呼吸の回数はその時の心の状態によって変化します。

気持ちが穏やで体もリラックスしているとき、心が休まる友人とや家族と過ごしているとき、満たされて幸福感を感じているときは呼吸は、呼吸は深く落ち着いています。

反対に仕事で緊張感のある状態や、何かに怒りを感じているとき、不安感やパニックになる状態であるときは、呼吸は早く荒くなっていたり、無意識に息が止まっていることもあります。

このように心身の状態と呼吸は密接に関係しており、自律神経とも関わっています。

交感神経は外向き、副交感神経は内向きのエネルギー

交感神経と副交感神経は真逆の働きをしています。

交感神経
浅い呼吸、緊張、活発、思考優位、意識が外に向く。

副交感神経
深い呼吸、リラックス、安定、弛緩、心身の鎮静、意識が内側へ向く。

現代人は交感神経が優位になりやすいため、意識的に副交感神経を優位にさせることでバランスを取る必要があります。

自律神経の乱れは、免疫力の乱れにもつながるため、心身の健康を維持するためにもリラックスした深い呼吸を意識する時間を持つことが大切です。

ヨガセラピーで用いるリラクゼーション法


ヨガセラピーは、自律神経のバランスを整え、免疫力が正常に働くように促す健康維持のための方法です。もともと体に備わっている自然治癒力を発揮するためには、過剰なストレスを緩和させ、心身が安定するように促すことが大切だとヨガセラピーでは考えられています。

そのために体を適度に動かし、深く呼吸する意識と、呼吸が浅くなり凝り固まった体をほぐす運動を取り入れていきます。

鼻呼吸で深く長く呼吸する

ここでは基本のひとつとなる「呼吸」を紹介していきます。

呼吸法には大きく分けると、「腹式呼吸」と「胸式呼吸」があります。

  • 腹式呼吸
    呼吸をするときに必要な横隔膜をしっかりと上下させ、内臓をマッサージする効果がある。
  • 胸式呼吸
    胸を広げ、肺いっぱいに酸素を満たすように意識するため深い呼吸がやりやすい方法。自然な呼吸に近く、どなたでもやりやすい呼吸法。

いづれの方法でも呼吸をするときは鼻呼吸を意識していきます。鼻の穴に空気を通すことにより、鼻毛がフィルター作用をし、体内に不純物が侵入するのを防ぎます。

また、鼻呼吸により粘膜にある神経を刺激し、喉の器官を広げ、呼吸がしやすくなるといわれています。

まずは、呼吸に馴れよう「準備」


まずは、呼吸が深くできるように呼吸法に慣れていきましょう。ここで行う呼吸は「胸式呼吸法」です。呼吸を深くするために大切な呼吸法です。呼吸が喉を通る摩擦音を意識的に出し、その音を集中して聞きながら行います。

寝息のような呼吸音は、波の音のようにも聞こえることから「波音の呼吸(オーシャンブリーズ)」ともいわれています。呼吸も波と同じように、「寄せては返す」循環からなります。呼吸の波と海の波のイメージを合わせて、心地よく集中していきましょう。

※「波音の呼吸音」参考動画は、音声のみです。呼吸時の参考にしてください。呼吸と動きを合わせたリラクゼーションは、2番目の動画を参考ください。

 

  1. 楽な姿勢で座るか、リラックスできる立ち姿勢で行います。
    両手を鎖骨の真ん中のくぼみのあたりに重ねておきます。
  2. 息を軽く吸います。
  3. お腹から息を長く吐き出していきましょう。同時にお腹を凹ませて体内の二酸化炭素を外に全部押し出していくように意識します。
  4. 息を吸います。胸、背中、背中の横、胸周りを前後左右に広げていくようなイメージで長く吸いましょう。
  5. 慣れてきたら喉の奥の方から呼吸するイメージで寝息のような音を立てていきます。
  6. 息が長く吐けない、または吐きづらいと感じるときは、吐く息と同時に「アー」の音を心の中か、声に出していきましょう。自然と息が深く長くなります。
  7. 呼吸の音が擦れないようにリラックスして続けていきます。
  8. 両手の左右の胸の上、お腹へと順番に下げ、呼吸で体が動く反応を確かめながら行いましょう。

呼吸と動きを合わせるリラクゼーション法


それでは呼吸法のやり方を説明します。上記「波音の呼吸」を使い、呼吸の長さを視覚化、意識化するために簡単な動きを付け加えるようにします。

呼吸の長さと動きの長さを丁寧に合わせることによって、意識を思考から五感に向けさせ「今ここ」の感覚に集中しやすくします。

左脳(思考優位)右脳(五感)は同時に働くことができません。五感を優位にしていくことで副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせ、自然治癒力と免疫力を高めることを目的としたヨガ的リラクゼーション法です。

 

 

  1. 楽に座った姿勢か、リラックスできる立ち姿勢で行います。
  2. 胸の真ん中に両手を重ねておきます。
  3. 軽く息を吸います。
  4. 波音の呼吸を使ってお腹から息を吐き出します。
  5. 息を吸いながら両腕を左右に大きく広げ、両方の肩甲骨を寄せていきましょう。手首を外側へ軽くひねり肩甲骨に刺激を与え、胸を伸ばします。
  6. 吐く息がはじまったら両腕を閉じ、胸の真ん中へ重ねる姿勢へ戻します。
  7. 吸う息がはじまったら再び両腕を左右に広げます。
  8. 呼吸がはじまったら動きがついていくイメージです。そして吸い終わり、吐き終わりに動作が止まるように丁寧に集中して合わせていきましょう。
  9. 最低でも10呼吸続けます。気持ちが落ち着くまで続けても構いません。

そのほか、「マントラ」を使い声を出す方法とその効果

マントラとは、真言という意味です。古代の聖人が瞑想していた時ときにインスピレーションで降りてきた聖なる言葉だといわれています。

その言葉のエネルギーと神様の特徴である波長を合わせ、自分自身の内側へつながるために用いられますが、ヨガセラピーでは別の用途としても頻繁に使われます。

その音を声に出すことで吐く息を深く、長く、強め、その音を耳で聞くことによって五感を優位にし右脳を働かせ、副交感神経を優位にするためのツールとして使われます。

深い呼吸をするときは、右脳と左脳の働きを意識する

左脳の働きは 言葉、会話、物事を分析、推理、理論的な思考、外向きの意識。記憶する役割があります。

右脳の働きは イメージ、体の感覚(五感)空間の把握、内向きの意識などを司ります。

右脳と左脳をは同時に同じ割合で使うことができません。どちらかが優位になるように切り替えながら過ごしています。

ヨガセラピーでは、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる状態にし、免疫力を高めます。そのため右脳の働きを優位にし、五感に集中することを意識的に行います。その方法としてマントラの音に集中し、その音を聞きます。声を出すことにより、息が長くなり、必然的に深い呼吸がしやすくなるのです。

今回紹介する方法ではマントラは使いませんが、呼吸を深めるために動きと呼吸を合わせるように運動し、体に意識を向けさせます。
そして、呼吸の音を聞くことによって耳でも集中していきます。すると、右脳が優位に働き、副交感神経が優位になるスイッチに切り替わります。その方法を用いることで心身を安定した状態に導きやすくなり、免疫力の働きを整えると考えられているのです。

バランスを整えることによって心身を整えよう


深くゆっくりとした呼吸は心身を安定させます。しかし、常にリラックスした状態ばかり続くのもバランスを崩す原因となります。交感神経も副交感神経も、生活するうえでそれぞれの役割を交代しながら行っている大切な神経機能です。気持ちが休まらない、ストレスが溜まっているときは、意識的にご紹介した呼吸法を試してみてくださ。

反対に気持ちが滅入りがち、体が重だるくやる気が起きないときは、活動的な神経を整えるための軽い運動やウォーキングなどをして体を動かし、バランスを取ることが大切です。

不安や自粛を強いられる今の状況に無理なく対応していくために、自分の呼吸と丁寧に向き合う時間を意識的に取るように心がけてみましょう。

 

※音声、動画ともに著者撮影によるものです。

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マナヨガuemura yuuka(ゆうか)

マナヨガuemura yuuka(ゆうか)

「マナヨガ」代表。20代の頃、ストレス過多で喘息が再発。心身の調和こそ健康だと痛感し、ヨガセラピーを学び始める。また姿勢と歩き方から改善し楽な体へと整える“マナメソッド”を発案。現在、名古屋、東京を行き来しながら本来の自分らしさを引き出すレッスンを行う。フルオーダーメイドで作る個人レッスンは、キャンセル待ちが出るほど定評がある。

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コメント

  1. 2022.02.18

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ayur-notes編集スタッフ

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