インドには心身の不調へアプローチする際に、人が生まれ持った体質や個性により治療法が変わる、古代から伝わる伝統医学がある、という記事を読んだのは、20年も前のこと。

西洋医学のように病名にそった治療や、薬の処方をされるのが当たり前だと思っていた当時の私には、生まれ持った個性によって健康を促すアプローチを変えるという行為が、立派な医学として国に認められていることにとても驚き、感動したことを今でもはっきりと覚えています。

これが、私の「アーユルヴェーダ」との最初の出会いです。

長年ヨガ講師をしていると、ヨガとアーユルヴェーダの違い・関係性について生徒さんに質問されることがあります。

ヨガもアーユルヴェーダも古代インドで発祥したもので、その関係は切ってもきり離せないもの。

そこで今回は、ヨガとアーユルヴェーダの関係性やその違いについて紹介しています。

「ヨガとアーユルヴェーダって何が違うの?」
「ヨガとアーユルヴェーダにはどんな繋がりがあるの?」

という疑問にお答えして、ヨガと密接に関係しているアーユルヴェーダについて、ヨガ講師の視点をまじえて、分かりやすく答えていきたいと思います。

ヨガとアーユルヴェーダの深い繋がり

インドには古代から伝わる「アーユルヴェーダ」という伝統医学があると知った衝撃の出会いから数年後、私はヨガに出会い、魅せられ、日常的にヨガを実践する一人となりました。

そんな中、自然の流れで再びアーユルヴェーダに出会いました。

ヨガを実践していくと、アーユルヴェーダのアプローチが必要となり、また、アーユルヴェーダを実践しているとヨガのアプローチが自然と取り入れられていることに気づきました。

それは、ある共通の繋がりが深く関係しています。

ヨガとアーユルヴェーダは姉妹のような関係

ヨガとアーユルヴェーダは切ってもきれない関係性にあり、まるで姉妹のようである、と当時の私の師匠はおっしゃっていました。

アーユルヴェーダは世界三大伝統医学の一つですが、ヨガもアーユルヴェーダも同じくインドを発祥とし、古代のバラモン教の経典「ヴェーダ」をルーツにしたものです。

2つが伝える本質は、命の叡智の科学

どちらも、宇宙の大いなる叡智から授かった命を生かし、肉体を使ってこの大地に住まい、幸せに生きていくためのツールとして発展し、伝承されてきたものなのです。

その起源はおよそ5000年前と言われています。

しかし、これは発見された古代の文献やヨガのポーズの銅像から計算されたもの。

ヨガもアーユルヴェーダもリシという聖人によって口伝(口頭で伝承すること)されてきたものなので、実際はもっともっと古くから実践されていたのかもしれません。

ヨガとアーユルヴェーダの共通の目的

ヨガもアーユルヴェーダも共に古代インドで発祥し、長い歳月を経てはぐくまれてきた「命の叡智」です。

ヨガは単なるエクササイズではなく、人生を幸せに生きていくためのツールです。その最終目的は、心身を浄化し、瞑想することにより悟りを得ることにあります。

そのためには、健康な心身が不可欠です。健康であることは、人生の幸せに直結しています。

健康な心身であるためには、日々の生活の意識や行動が鍵となります。

  • 規則正しい生活
  • 適度な運動
  • 毎日の食事

など、基本的生活が快適に整っていてこそ、調和のとれた健康な心身を保つことができます。

長年ヨガを実践していて感じることは、生活のベースにアーユルヴェーダの叡智を活用していくことは、ヨガ実践者にとってとても自然なことであるということ。

それは、アーユルヴェーダは心身のトラブルを起こしてしまったあとの対処療法ではなく、本来私たちが持っている命の力「自然治癒力」という働きを完全に活動させるため、日々実践してくものだからです。

これはヨガも同じです。

目の前の心身の不調を改善するためのケア方法や、生活習慣を見直す方法の指導も行いますが、不調の要因になるものを体質に合った方法でアプローチし、心身を整えていきます。

本来、誰もが備えている命の力が当たり前に働けるよう、健康を害する心身の使い方や生活態度、ストレス、精神のバランスの崩れなど、自分にとって重荷となり得る不必要なものを取り除いていくというアプローチです。

このように、ヨガもアーユルヴェーダも本来の自分らしさを最大限に生かし、人生を幸せにおくるという、同じ目的を持っています 。

そして、それぞれ互いを支え合い、影響し合い、力を分かち合う存在です。

ヨガもアーユルヴェーダも、本来の自分らしさを生かした上で、幸せな人生をおくるための洗練された「生きる哲学」なのです。

ヨガとアーユルヴェーダの違い

共通するルーツや目的を持つヨガとアーユルヴェーダ。
ここでは、それぞれのアプローチ方法や違いについてみていきましょう。

アーユルヴェーダのアプローチ

アーユルヴェーダのアプローチ法は、それぞれが持って生まれた個性・性質を考慮し、食事法や養生法、具体的な治療法や薬草学を取り入れた生活をおくることで心身を健康へと促します。

生まれ持った個性・性質を重要視しているので、「ありのままの自分」であることを目指し、心身全体の調和をとることを大切にしています。

医学としてだけでなく、日々の生活に根付き育まれてきたものです。

また、 自分の心身の健康・調和を大切にすることにフォーカスするだけでなく、私たちの周りの環境(人間関係・社会との関わり)の中で、調和のとれた生き方をおくることも大切にしています。

アーユルヴェーダは生活が基本です。

食事、睡眠、季節の変化を取り入れる、心の平安を養う瞑想、運動(ヨガの体操)などを日常的に取り入れて、心身全体のバランスを整えるアプローチをしていきます。

ヨガのアプローチ

一方、ヨガのアプローチ法は、本来とてもスピリチュアルなものです。

現代の流行となっているヨガは、エクササイズ要素やアーサナ(ヨガのポーズ)を極めていく肉体的なものがもてはやされていますが、元々は、より精神の安定や調和にフォーカスしたものです。

そして、その先の「命はどこから来たのか?」という壮大なテーマと自己の存在を探求するために、深く瞑想し、悟りを得ることを目的としていました。

自己の生命を探求するためには、心身の健康が大前提となります 。
そのために、アーサナや呼吸法が使われるようになっていきました。

ヨガの究極の目的は、心の作用を鎮め、悟りを得るためのもの。

その過程で体型が引き締まったり、健康になったり、病気が癒されたりという、嬉しい二次的効果が得られるのです。

このことからも分かるように、現代ではヨガ本来の目的よりも、その過程で得られる効果が注目され、私たちに沢山の恩恵をもたらしています。

このようにヨガとアーユルヴェーダのアプローチ法は異なりますが、目的とするものは同じ。幸福の拡大です。

両方の自分に合った形で日常に取り入れることで、真の健康が得られ、人生にさらなる幸せが広がっていくのではないでしょうか。

次回からは、体質別ヨガのアプローチ法をご紹介していきます。


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