「教えて!佐野先生」では、アーユルヴェーダについて造詣の深い佐野正行医師(以下、「佐野先生」と呼ばせていただきます)にインタビューし、アーユルヴェーダを活用して毎日の生活をより健康的に過ごすヒントをご紹介しています。

第二回目はいま流行している感染症対策やアレルギーケアについてです。
アーユルヴェーダをはじめとした自然療法などでの感染症対策はどんなものがあるのか、また子どものケアなどお話いただきました。

アーユルノート編集部
いま流行している感染症にはどのような対策をしたらよいでしょうか?

佐野医師

「整える」ということをベースにしてください。
アーユルヴェーダで「清らかで軽く調和した状態」のことを『サットヴァ』といいますが、考え方としては「きれいな状態に整える」ということがベースとなっています。

新型コロナウイルスはウイルスですので、基本的にはインフルエンザなど既存のウイルス感染症と同じように対策してください。手洗いやうがいなどを意識して行いましょう。

また、心配しすぎないでください。心と体は連動しているので、「心を整える」ことをしっかり意識してください。今は心がとても不安になっていますよね。思うように外出しづらく、運動ができなかったり、ストレスでたくさん食べ過ぎてしまったりして、心と体に大きな負担がかかっていますので。

環境も整えてください。どのような場所にいるかによって、心身が影響を受けます。自然が豊かでゆったりしている所にいるのと、ごみだらけの部屋にいるのとでは明らかに気持ちが違ってきますよね。

心・体・環境の三つを整えることによって心身が整い、免疫力が上がってウイルスに感染しにくくなります。

「まず自分を整える」という考え方が大切です。
仕事柄、病院やたくさんの企業を訪問していますので、関わっている皆さんに迷惑をかけないようしっかり対策をしています。基本的なウイルス対策のほかに、睡眠はしっかりとる、暴飲暴食は控える、なども意識的に行っています。

アーユルノート編集部
アーユルヴェーダをはじめとした自然療法などでの感染症対策はどんなものでしょうか。
たとえば、ショウガなどを摂り入れるということなどは有効でしょうか。

佐野医師
体を温めるという意味ではいいです。
が、「体のベースを整えてから摂り入れる」という考えが大切です。「とりあえず◯◯をとればいい」という考えになってしまうとよくないですね。

サプリメントは健康維持のサポートをするものですよね。健康という体のベースがあってはじめて細胞まで成分が届きます。体のベースをよりよくするためだったり、年齢が高い方をよりサポートするためだったり、という目的であればよいのですが、体のベースを整えず、「サプリメントをとれば大丈夫、ほかは何をしていてもいい」という考えにはならないようにしてください。

大切なのは、体を温めるということと、体を冷やさないということです。体温を保つにはどちらも必要です。車にはアクセルとブレーキがあり、どちらも必要です。体を温めることをアクセル、体を冷やさないことをブレーキとたとえたときに、ブレーキ(体を冷やさない)対策がないがしろになっていることが多いです。夏に向かっているとはいえ、まだ寒い日もありますよね。女性は冷えやすいので、冷たいもの控える、薄着になりすぎない、などの冷え対策をしっかり行ってください。

腸内環境を改善する場合、腸内環境を整えることをしたり、整えるものを摂取したりすることがアクセル、腸内環境を乱すことをしたり、腸に負担をかけたりすることがブレーキです。食事を和食系にしてアクセルを踏んでも、添加物がたくさん入っているお菓子を食べ過ぎてブレーキを踏みすぎてしまえば意味がありません。どんなによいことをしても、それ以上に悪いことをしてしまったら、結果として心身に負担をかけてしまいますよね。「お菓子を食べ過ぎると肌が荒れる、体によくない」ということがわかっているのになぜ食べてしまうのか…。いつでも食べられる環境にしてしまっているからかもしれません。ストレスや不安などの心の問題があるのかもしれません。体に何らかの不具合が起きている可能性もあります。心・体・環境を整えることが大切です。

「食べることで幸せになる」こともありますよね。「絶対に食べてはいけない」ということではなく、心身に負担をかけすぎず、少量を味わっていただいてください。
大切な人と一緒に甘い物を笑顔でいただく、家族とおいしいお店で楽しく会食する、何か目標を達成したご褒美として好きなものを食べる、などはいいケースですね。惰性で食べている場合は、体を壊す要素の方が大きくなるので減らしたほうがいいです。バランスを考えてみてください。

みんな不安はあります。不安な感情自体が悪いわけではありません。不安な気持ちを持ち続け、負の影響を受けてしまうことがよくないのです。不安な気持ちは「今の自分の気持ち」として「こんな状態なんだ」と受け止め、不安を改善していけるように行動していくことが大切です。

心身にとってプラスになることは、定期的に行っていくといいですね。運動をする習慣があれば、無理しすぎない範囲で継続してください。サプリメントをとる習慣があれば良質なものを、食事をサポートする形で摂取し続けてください。

春~初夏は体を冷やしやすいです。「冷やさない、温める」「運動をする」「ゆったり心のバランスをとる」の3点を意識して、心地よく過ごしてみてください。

アーユルノート編集部
子どものケアとアーユルヴェーダについておうかがいします。
子どもにはどれくらいまで活用できますか?

佐野医師
まずは、大人と同じように食生活を整えてください。
ただし、大人と子どもでは体質や大きさが異なります。

脱水になりやすい、免疫学習ができていないので感染症を起こしやすい、など子どもの特徴があります。年齢に応じた対応を心がけてください。

ハーブをいただく場合は、まずは専門家に相談してください。天然のハーブは、問題になるものは少ないですが、体重に応じて摂取量を調整することが必要なハーブもあります。

アーユルノート編集部
子どもに与えてはいけないハーブや、子どもにはしない方がいいことはありますか?

佐野医師
一般的に販売されているハーブを推奨量で摂取する場合は問題ないです。
子どもが飲めない市販のハーブティーはないです。心配な場合は、主治医やアーユルヴェーダの専門家にきちんと相談してください。

とり過ぎや、やり過ぎはダメです。りんごは栄養があってバランスがいい果物ですが、1日に10個も食べたらお腹を下しますよね。適量はきちんと守ってください。

アーユルノート編集部
子どもの鼻炎などの鼻の症状に、鼻オイル療法を行っても大丈夫でしょうか。

佐野医師

子どもは鼻オイル療法を嫌がることが多いですが、できるのであれば全く問題はありません。嫌なことを継続して行うと本当に嫌いになってしまい、アーユルヴェーダ自体を嫌いになることもありますので、無理に行うことは止めてください。

継続することが大切です。無理なく継続していけるやり方をお子さんと一緒に考えてください。
鼻オイル療法自体は、適切に行えば問題になるということは基本ありませんので、アレルギーを持っている方は試してみてください。

アーユルノート編集部
食物アレルギーを改善する方法についてお聞かせください。
通常病院では、軽度のアレルギーの場合、少しずつ食べさせることをすすめると思うのですが、アーユルヴェーダや自然療法ではどのように行っているのでしょうか。

佐野医師

2つ視点があります。

(1)食べ物自体の質が悪くて食べられない
(2)体の問題で食べられない

という2点です。

病院では(2)に関しては問題視されますが、(1)に関してはしっかり対応されないことが多いです。

牛乳の場合、狭い牛舎でストレスまみれで育てられた牛の牛乳と、自然放牧で自由に育てられたストレスのない牛の牛乳では、味や質が全く違います。前者は体が受け付けなくても、後者なら飲める人もいます。不自然に加工された質の悪いものではなく、自然な状態のものを食べて体調を確認してみることを一度やってみてもいいと思います。

体の代謝経路や腸の状態が悪い場合は、アレルギー物質が体の中に溜まりやすいので、体の状態を整えることによってアレルギーが改善する場合もあります。

「食べ物の質」と「体の状態」の両視点を考えて整えることが大切です。

アーユルノート編集部
最後に、ご覧になっている方にメッセージをお願い致します。

佐野医師

「これをやればすぐによくなる」ということはないので、季節や体調にあった対策を継続してください。新型コロナウイルスの影響で活動が制限されたり、不安が多くなったりしているからこそ、より意識してください。

特別なことやるというよりは、基本的なことをひとつずつ大切にやっていく、平常心を大切にしてください。

普段の食生活の中で、スパイスやハーブを取り入れて免疫力を高めてください。体を冷やさず、体を温めるものとしてスパイスやハーブを上手く使ってください。

 

佐野正行医師 プロフィール

佐野正行医師プロフィール
佐野正行医師
医師・産業医・森林医学医
・ ナチュラルクリニック代々木 医師
・ 日本産業医協会 会長
・ 予防医学/代替医療振興協会
・ 漢方養生学研究会 会長
・ 日本自然食品協会 会長
「医師」をめざしたきっかけ
小学校3年生の時に、大腸の炎症性疾患(大腸から水分などを吸収できなくなる病気)になり、夏休みの間ずっと入院治療を受けました。その時に健康であることが当たり前ではなく、健康であることの大切さを実感しました。成長期に病気をしてしまったため成長が一時止まってしまい、体力も低下し、同級生に負い目を深く感じたことから、体に対する負担が心に対する負担につながっていることを実際に知りました。検査や治療はとても大変で、心身に大きな負の影響を及ぼすことを体感し健康であることが一番と感じました。家族にも大きな心配をかけ、お見舞いなど実際に沢山の負担もかけてしまいました。入院中の医師や看護師さんが、温かく優しく対応してくれて、とても信頼のおける大切な仕事だと感じ、自分も医師を志すようになりました。
未病時の対応
地元名古屋の大学を卒業し、消化器外科医として、基幹病院・大学病院などで勤務をしながら、究極の生活習慣病である「がん」に対する治療を実践してきました。 3000人以上の患者さんの手術に携わりながら治療を続けて行くうちに、
・病気になってしまってから対応(治療)することは大変であること
・根治することが困難であること
・原因(病気の背景)に対してアプローチすることが大切であること
・心と体が密接に関係しており、心に配慮することはとても大切であること
・自己免疫力を高め、自然治癒力を最大限に引き出すことが治療の基本であること
などを実感し、病気になる前(未病時)に対応することを実践するために活動しています。

 

第二回目インタビューを終えて~アーユルノート編集部

みなさん、第二回目はいかがでしたか?
「健康である」ということの大切さを多くの人が感じているときだからこそ、佐野先生のインタビューはみなさんの毎日の生活に参考になると思います。

今回のおさらいとしてまずは、基本的なことをしっかり行うということ。
新型コロナウイルスの対策としては、既存のウイルス感染症と同じように「手洗い・うがい」を意識して行ってください。

体を整えることと同時に、「心と環境を整えること」も大切だとお話しいただきました。

「まず自分を整える」という考え方を取り入れ、習慣化して、ぜひみなさんの毎日の暮らしと健康に役立ててみてください。

 


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