「教えて!佐野先生」では、アーユルヴェーダについて造詣の深い佐野正行医師(以下、「佐野先生」と呼ばせていただきます)にインタビューし、アーユルヴェーダを活用して毎日の生活をより健康的に過ごすヒントをご紹介しています。

第一回目は

  • アーユルヴェーダって何?
  • 西洋医学と東洋医学の違いと薬について
  • アーユルヴェーダで使われるハーブとは?
  • 予防医学、自然療法の重要性

についてお話いただきました。

 

アーユルノート編集部
Q. アーユルヴェーダって何ですか?

佐野先生

「アーユルヴェーダ」とは、「生命の学び」という意味で、スリランカやインド発祥の伝統医学です。日本では、ヨガやオイルマッサージなどのイメージが強く、こだわりのある一部の人が行っている特別な伝統医療という印象があると思います。でも実は特別なものではなく、人種を超えてどんな人にも役立つ、自然な手当て方法です。日本で古くから行われている養生法、和漢とも似ています。日本の養生法は途絶えてしまったので、今、こうして残っているアーユルヴェーダの知恵を利用できるのは、とてもありがたいことだと思います。

現地アーユルヴェーダでは、症状を改善するためにハーブやオイルを処方するだけではなく、健康を維持するために、人それそれの体質や体調に合わせた食や生活の知恵も伝えています。日本でも、アーユルヴェーダの知恵を日常生活に落とし込んで、健康管理に役立てられたらいいですよね。アーユルヴェーダによって食や生活を整え、それがどう心身に作用したかを定期的に専門家にチェックしてもらえるシステムができれば、本場と同じようなアーユルヴェーダの養生・治療が実現します。そんなことができたら、病気になる人が、もっと減るのではないでしょうか。

アーユルヴェーダは、インドやスリランカが発祥ですが、国によって違いもあります。インドのアーユルヴェーダは癒しや美容のために行われることが多くなり、一方、スリランカのものは、心身を整える力(治癒・健康維持力)が強いのが特徴です。歴史的にはインドのほうが古いかもしれませんが、スリランカのほうが人々の生活に根付き、アーユルヴェーダの原型が残っているようです。

 

アーユルノート編集部
Q. アーユルヴェーダのいいところとは、どんなところですか?

佐野先生

アーユルヴェーダのよさは、人間の心身が本来もつ機能を壊すことなく、病気の原因にやさしく作用するところにあります。何より、5000年もの長い間、スリランカやインドの市民の生活に根付き、心身にいいということが証明されています。歴史のあるものは、長年続いている理由が必ずあるものです。

西洋医学の薬は症状にピンポイントで効きますが、アーユルヴェーダで使用するハーブやオイルは、心身の機能を全体的に整える効果があり、副作用が出にくいという特徴があります。なかには薬と同じように即効性もあるハーブもありますが、根本的な考え方が「心身全体を整える」ことなので、その使用方法も西洋医学の薬とは異なります。さまざまなハーブを組み合わせて相乗効果を出しますが、そのハーブがどのような環境でどうやって育ったかによっても効能が違ってくると考えられます。ハーブを使用する際には、種類だけではなく、産地もチェックしたいものです。

 

アーユルノート編集部

Q. 佐野先生おすすめのハーブの産地はありますか?

佐野先生

アーユルヴェーダのハーブは各国で育てられていますが、手つかずの自然や豊かな土壌が残っているスリランカでは、質の高いハーブが採取でき、それがむやみに外に流出しないよう国によって規制もかけられています。国が運営するハーブ園もあり、そうした信頼できる農園で育てられたものを使用するとよいと思います。一般の農園で作られているハーブのなかには農薬を使っているものもあるので、気を付けなければなりません。

スリランカでは、古来から伝わるアーユルヴェーダの知恵を守り生かすために「アーユルヴェーダ省」も設置されています。これは日本の厚生省のような役割を果たす機関で、植物を使った治療や健康維持方法も研究されています。

今は世界中で、植物の種の遺伝子組み換えが当たり前のように行われていますが、スリランカでは、その土地ならではの原種の種が守られています。本当によいものを見分けることが難しい時代ですが、自分から情報を集め、本物を見分ける力を養いたいものですね。

日本では、そもそも旬の野菜を食べることで、体を温めたり冷やしたりする作用があることすら、忘れられてしまっています。野菜もハーブと同じように効能があります。まずはそうした食の基本を思い出し、ハーブ(植物)のすばらしさを知ってほしいと思います。

私はもともと西洋医学の医師でしたが、病気になる前の予防医学、自然療法の重要性を、改めて感じています。現代人は病気を治そうと焦り、即効性を重視しすぎています。それが別の病気を引き起こす原因にも。

今、そのことを改めて反省し、西洋医学以前の人類がどうやって生きてきたのかについて、もう一度、学び直さなければなりません。アーユルヴェーダは、それを教えてくれる重要な資料でもあるのです。

 

佐野正行医師 プロフィール

佐野正行医師プロフィール
佐野正行医師
医師・産業医・森林医学医
・ ナチュラルクリニック代々木 医師
・ 日本産業医協会 会長
・ 予防医学/代替医療振興協会
・ 漢方養生学研究会 会長
・ 日本自然食品協会 会長

「医師」をめざしたきっかけ
小学校3年生の時に、大腸の炎症性疾患(大腸から水分などを吸収できなくなる病気)になり、夏休みの間ずっと入院治療を受けました。その時に健康であることが当たり前ではなく、健康であることの大切さを実感しました。成長期に病気をしてしまったため成長が一時止まってしまい、体力も低下し、同級生に負い目を深く感じたことから、身体に対する負担が心に対する負担につながっていることを実際に知りました。検査や治療はとても大変で、心身に大きな負の影響を及ぼすことを体感し健康であることが一番と感じました。家族にも大きな心配をかけ、お見舞いなど実際に沢山の負担もかけてしまいました。入院中の医師や看護師さんが、温かく優しく対応してくれて、とても信頼のおける大切な仕事だと感じ、自分も医師を志すようになりました。
未病時の対応
地元名古屋の大学を卒業し、消化器外科医として、基幹病院・大学病院などで勤務をしながら、究極の生活習慣病である「がん」に対する治療を実践してきました。 3000人以上の患者さんの手術に携わりながら治療を続けて行くうちに、
・病気になってしまってから対応(治療)することは大変であること
・根治することが困難であること
・原因(病気の背景)に対してアプローチすることが大切であること
・心と体が密接に関係しており、心に配慮することはとても大切であること
・自己免疫力を高め、自然治癒力を最大限に引き出すことが治療の基本であること
などを実感し、病気になる前(未病時)に対応することを実践するために活動しています。

 

第一回目インタービューを終えて~アーユルノート編集部

「教えて!佐野先生」第一回目、いかがでしたか?

佐野先生のインタビューから、アーユルヴェーダやその他の予防医学、自然療法の重要性をあらためて考えさせられました。

体調を崩したり、病気になったとき、すぐに病院へ駆け込むのではなく「自分の体は自分で守る」術を学び直すこと。日々の食事の大切さ、「体は食べたものでできている」ということも思い出しました。

また「自然なもの=体にいい」と鵜呑みにするのではなく、ハーブひとつとっても良質なものを見極める目(知恵)を身に付けなければいけません。

情報が混在し、何が正しいか、何が自分にとってよいものなのか分かりにくい時代だからこそ、何千年も受け継がれてきたアーユルヴェーダの知恵には、私たちが健康的に幸せに生きるヒントが多くあるのだと思います。

ぜひ、皆さんも「教えて!佐野先生」を参考に、日々の生活に取り入れてみてくださいね。

 


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