「教えて!佐野先生」では、アーユルヴェーダについて造詣の深い佐野正行医師(以下、「佐野先生」と呼ばせていただきます)にインタビューし、アーユルヴェーダを活用して毎日の生活をより健康的に過ごすヒントをご紹介しています。

 

アーユルノート編集部
アーユルヴェーダの秋の過ごし方、養生法などを教えてください。

 

佐野医師
では、秋に向けての心構えや、秋冬の体づくり、おすすめの食材や方法など順にご説明していきますね。
アーユルヴェーダライフを過ごす参考にしてみてください。

 

秋の心構え

夏は湿気があり暖かいので、昔は、夏は肌にとって優しい季節でした。
しかし、今は、冷房を使う機会が多くなったので、肌が冷え、とても乾燥し、肌にとって非常に厳しい場が多くなってきています。肌が乾燥すると、汗や皮脂の分泌量が落ち、肌を保護する力が圧倒的に弱くなってしまいます。この状態の皮膚に強い紫外線が当たると、紫外線が角質の深部まで入ってしまい、肌がさらに乾燥したり、角質肥厚が起こったりしてしまいます。

これまでは、夏に肌を整えられたので、肌がよい状態を保ったまま、寒く乾燥し肌を痛めつける秋や冬を迎えることができました。ですが今は、夏の冷房で肌を酷使し、肌を悪化させてしまっていますので、以前よりも気を付けて秋は肌の手入れをしていくことが必要です。

この季節のアーユルヴェーダ的養生としては、夏の時期から「冷房はかけすぎない」ということがとても大切です。冷房を使うなら、湿度を保ち、加湿もして、肌をしっかり守ってください。冷房時の目安の湿度は50%以下、簡単にできるおすすめの加湿法として、コップに水を入れて置いておく、観葉植物を置くなどです。

秋は、朝・夜と昼との気温差や気圧の変動が激しいので、肌にますますストレスを与えてしまいます。「秋は肌に厳しい季節」ということを、まずは知ってください。

秋冬に向けての体づくり

本来、秋を過ごすまえの夏から準備する、ということがとても大切です。冬になるとさらに寒く乾燥するので、冬が訪れるまえに秋から準備するという意識を持ちましょう。「一つ前の季節からしっかり準備する」という考えが、アーユルヴェーダ的視点ですし、とても大事です。

夏は気温と体温の温度差が小さいので体のエネルギーが消費されにくく、エネルギーを作るためにたくさん食べる必要はありません。しかし、冷房の効いた部屋にいると、気温(室温)と体温の温度差が大きくなり、体のエネルギーがたくさん消費されてしまうため、体が多くののエネルギーを必要だと勘違いして、食べ過ぎてしまいます。また、夏は冷たいものを食べたり飲んだりするので胃腸に大きな負担がかかり、胃腸が疲れきってしまい、とても弱っている方が多くなっています。

食欲の秋といい、秋はおいしい食べ物が豊富にあるので、食べすぎてしまいがちです。胃腸が疲れている方が、さらに食べてしまったら、体(胃腸)は疲れてしまい、免疫力も下がってしまいます。「胃腸が疲れているな〜」と感じる方は特に、胃腸の負担を減らし胃腸を整えることを行ってください。

たとえば、食べ過ぎない、油ものを減らして胃腸の負担を減らす、カボチャやニンジンなど火を補う黄色い食べものや、秋が旬の食材をいただくことによって胃腸を温める、などということがとても大切です。

肌の潤いを保つためにはケイ素というミネラルが必要です。ケイ素は肌の弾力を保つのに必要なエラスチンや、潤い成分であるヒアルロン酸を結びつけ、肌を健康的で張りのある状態にしてくれます。

ここで重要なポイントは、たくさん食べることではなく、栄養バランスのとれた食事を胃腸に負担がかからないように楽しくいただくことです。ビタミン・ミネラル、良質な油をバランスよくとって、内部環境を整えてください。

秋は、食欲の秋のほかに、読書の秋、運動の秋ともいわれますが、それぞれちゃんと意味があります。
エネルギーがたくさん必要な冬に向かっていく時期ですので、エネルギーをしっかり蓄えることが必要な方(冷え性の人や体力のない人、子ども、高齢者など)は、食欲の秋を意識して食べてください(胃腸が疲れている方は食べ過ぎには気をつけてください)。

夏に外遊びなどで活動し、体が燃えている状態の方は、心身を落ちつかせるために読書の秋を意識して、ゆったり読書をして心身をリラックスしててみてください。

最近は、夏に外で活動したりや運動をしたりしない人が増えており、筋力が落ち、エネルギーが作りにくくなっている方が多くなっています。この状態では、エネルギーを多く必要とする冬を快適に過ごすことは困難です。このような方は、運動の秋を意識し運動して筋力をつけ、細胞内のエネルギー工場といわれるミトコンドリアを増やすことがとても大切です。

秋におすすめの食材や方法

秋~冬のこの時期は胃腸が疲れている方が多いので、刺激の強いスパイスはなるべく控えましょう。疲労回復に効果があるニンニクは、とりすぎると胃や腸に負担がかかってしまいます。

この時期おすすめ食材は、体を温める生姜、抗酸化作用のあるクミンやローズマリー、血行改善作用があるシナモンなどです。ハーブティーをゆったり飲んで、心身を整えてください。

冬に向けて胃腸を整えて、血流をよくしていくことを心がけましょう。

冷えて乾燥するこれからの季節に肌を整えるため、オイルを使用したマッサージは、皮膚をなめらかにして艶を与えてくれますのでおすすめです。自然なオリーブオイルを使ってください。また、鼻うがいで、鼻粘膜を整え、免疫機能を保持・向上させることも行ってみてください。

 

マスクについて

マスクは、他人に不快な思いをさせないために、咳をしている場合や、大勢の人がいる場所へ行く場合など、状況に合わせて使用してください。
マスクは湿度が保てるので、乾燥している場所では使ってください。口を開けて寝る方は、睡眠時にマスクをすることもおすすめです。

しかし、マスク着用において健康面のデメリットが2つあります。

1つは、マスクをして息苦しくなることで、精神的な負担が増えている方がいることです。夏はただでさえ暑さで息苦しいので、マスクをして苦しくなるなら、屋外などマスクをとれる場所では、とったほうがいいです。

もう1つは、肌呼吸ができないので肌が荒れている人が増えていることです。
長い時間、肌にマスクが密着しているので、マスクが肌に大きな刺激を与えているのです。肌が荒れている方は、できるだけ使う場を限定してください。肌に優しい天然素材のマスクを使うこともおすすめです。

また、心に対するデメリットもあります。

マスクをしていると、お互いの表情がわかりにくくなり、声がこもって聞きとりづらいので、マスクをして普段と同じように話すと意思疎通がし難くなってしまいます。マスクをすると、想いが上手く伝わらなくなったり、誤解を生んだりしてしまう可能性が高くなってしまうのです。

マスクをせず、面と向かって話したほうが、目に見えない想いや感情が伝わりやすいですよね。幸せに楽しく交流するために、よい人間関係を築くために直接会って話をしているので、マスクをしているときは、自分の気持ちをきちんと言葉にして伝えたり、オーバーアクションをしたりすることを心がけてください。もちろん、マスクを外せる環境なら、マスクを外して、お互いの表情を見ながら、幸せに会話を楽しんでください。

マスクで予防することを大切にされている方の前ではマスクをする、屋外などで相手との距離がとれる場合はマスクを外す、など、相手の方とのよい時間、よい空間を作ることを考えて、お互いが気持ちよく過ごせるようにしていってください。

「マスクを使わなくてもいい生活に、1日でも早く戻るといいな〜」と願っています。

 

佐野正行医師 プロフィール

佐野先生プロフィール

佐野正行:医師・医療相談専門医

外科医として3000人以上の手術に携わる。
食生活改善による健康指導や予防医療、免疫力をあげて未病に対応するなど、
「健康に、その人らしく、幸せに過ごす」
サポートを治療から健康相談まで総合的に行う。
著書「最先端のがん免疫療法」は、紀伊國屋、丸善、八重洲ブックセンターなどでランキング1位。
ナチュラルクリニック代々木 医師、マーキュリーアカデミー 校長、漢方養生学研究会 会長、予防医学・代替医療振興協会 学術理事。

Webサイト:http://dr-masa.com/prof/

 

第四回目インタビューを終えて~アーユルノート編集部

これから寒くなるにつれて、多くの方がインフルエンザの感染症が気になり、またコロナ禍で、いつも以上に健康に気を配り過ごしている方も多いと思います。

アーユルヴェーダライフの基本は、何か起こってから対応するというものではなく、一つ前の季節から次の季節に向けての心がけ、体づくりを習慣にするということが大切です。

アーユルノートをご覧になっている方は、きっと、日ごろからそのように意識して過ごしている方も多いでしょう。コロナ禍で不自由に感じることも多いと思いますが、こういうときだからこそ、健康でいるとことの大切さ、それが自分自身の人生の幸せに欠かすことのできないものだということを思い出して、読者のみなさんと一緒に日々の心がけを大切に過ごしていきたいなと思います。

わたしたち一人一人がアーユルヴェーダの教えを取り入れ一日一日を過ごしたら、佐野先生の「マスクを使わなくてもいい生活に、1日でも早く戻るといいな〜」という日もきっと、そう遠くないですよね!

 


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