アーユルヴェーダとは「生命の真理」を意味し、人生を幸福に暮らすための方法が説かれています。その幸福な人生とは、ただ健康ということだけではありません。
- いつまでも若々しく
- 知識や判断力を有し
- 人生を楽しみ
- 意欲があり
- 思いのままに行動できる自由がある
ということを意味しています。
そのためにライフスタイルに取り入れたほうがよい食事や睡眠などの生活の仕方やトリートメントについて説かれています。
今回はその中で、セルフアヴィヤンガ(自身で行うオイルトリートメント)についてご紹介したいと思います。
セルフアヴィヤンガ とは
アーユルヴェーダのオイルトリートメントのことを一般的にアヴィヤンガといいます。そして、自身で行なうものをセルフアヴィヤンガといいます。
アーユルヴェーダのオイルトリートメントの特徴は
- オイルを用いること
- トリートメントのあと体を温めること
のふたつです。トリートメント後に体を温めるというのはアーユルヴェーダ独特のものではないでしょうか。
最大の効果として老化防止があげられますが、そのほかにも体の疲れ・筋肉痛・睡眠トラブルがある方にもすすめられています。45歳ごろから組織の機能低下が起こるとアーユルヴェーダでは考えます。なのでその年齢以降の方はぜひ習慣にしていただきたいものです。
また昨今では、ベビーへのオイルトリートメントを取り入れていらっしゃる方が増えていますが、アーユルヴェーダでは赤ちゃん(生後11日目~3歳)とお母さんへのアヴィヤンガをすすめています。
赤ちゃんへのアヴィヤンガは、抵抗力を強くし、体と心の健康的な発育を助けます。また、肌へのスキンシップは情緒を安定させてくれます。
母親へのアヴィヤンガは妊娠出産で乱れた体のバランスを整え、緩んだ体を引き締め丈夫にしてくれます。またアンチエイジングの働きがあるので、見ためも若々しく整えてくれます。
出産後体調が戻ってきたら、お母さんが赤ちゃんへアヴィヤンガをしてあげるとよいでしょう。お母さんからのケアは赤ちゃんとお母さんにとって、大切なコミュニケーションの時間になり、心身の安定にとてもよい影響があります。
アヴィヤンガで使用するオイル
アーユルヴェーダのオイルケアにはおもにセサミオイル、またはセサミオイルを基材にしたハーバルオイルが使用されます(体調体質によってはココナッツオイルやマスタードオイルを使用することがあります) 。
セサミオイルはキュアリングという熱処理を加えることで抗酸化物質(リグナン)を含くむ安定性の高いオイルになります。高い抗酸化の働きがデトックスを促し、代謝を高めてくれます。
ですので、熱処理が不十分な冷・低温圧搾のセサミオイルを使用する場合はキュアリングという熱処理をします。それによりセサモリン(抗酸化作用がない)成分がセサモール(強い抗酸化作用がある)に変化します。
①市販で売っている「太白胡麻油」をキュアリングして使用する
太白ごま油はセサミノールという抗酸化物質が含まれてはいますが、十分な量含まれていないためキュアリング(熱処理)をおこなって使用します。
- 鍋に太白胡麻油を移し、火にかける。
- 140度に熱する。調理用の温度計があれば100度すぎたら火をとめる(その後も勝手にオイルの温度が上がります)。温度計がない場合、指先を少し水で濡らした水滴(指先から垂れる程度)を垂らし、火にかけ、その水滴がパッチッと弾けたら火を止める(水の量が多いと爆発するので要注意)。これは水の沸点が100度のため、100度に到達した合図になります。
- 冷まして容器に移す。
②アーユルヴェーダ用のハーバルオイルを使用する
ネットで調べるとさまざまなアーユルヴェーダ専用オイルがあります。インドやスリランカなどでアーユルヴェーダ製法で作られているものは、生のセサミオイルを圧搾し加熱したものに、さまざまな効能のあるアーユルヴェーダハーブを加えたものになります。ですので抗酸化力のあるセサモールとハーブの力で体によりよい働きがあります。
私の個人的な感想ではあるのですが、インドやスリランカのオイルの方が体に吸収しやすいように思います。
セルフアヴィヤンガのやり方
セルフケアを行う時間は基本的に午前中といわれています。難しい場合は夕方。できるだけお日様が登っている時間が望ましいです。それはオイル塗布後、体はそれらを処理しなければなりません。ですので体の働きがよい時間帯にすすめられているのです。
ですが、お仕事などをされている場合は日中に時間を作るのは難しいと思います。そういった場合は夜に行ってもよいでしょう。セルフアヴィヤンガは大量なオイルを使用して行うものではないため、体が処理しなければならないオイルの量も少なくなります。ですので、やらないよりは夜でも行い、そして可能であれば毎日習慣的に行うことがすすめられています。
オイルは全身に塗布できるのが最もよいのですが、アーユルヴェーダでは頭頂、耳、足だけは毎日アヴィヤンガを行うようすすめています。
3点(頭頂、耳、足)のセルフアヴィヤンガのやり方
- オイルを用意します。
可能であれば湯煎したオイルを用意します。面倒な場合は常温のものでもよいです。 - まず頭頂にオイルをつけ(手のひらに500円玉程度の量)、手のひらで円を描くようにトリートメントします。シャンプーをするように頭頂を重点的にトリートメントするのもよいでしょう。その後、頭全体を心地よい範囲でトリートメントしてください。爪を立てたり、強くやりすぎて頭皮を傷つけないように注意してください。
- 耳と耳孔にもオイルを塗ります。そしてこちらも気持ちのよい範囲でトリートメントしてください。
- 足首から下、足の裏や指の間もしっかりオイルを塗ってトリートメントします。
- 全体のトリートメントが終わったら、お風呂またはシャワーで温まります。
全体で最低でも5分は行ってください。5分でオイルは体内組織に吸収されるといわれています。もちろん、より長くしっかり行うことができればなお、よいでしょう。
アヴィヤンガをやってはいけない場合
- 発熱がある
- 体に炎症がある
- 消化不良
- 飲酒
- 生理中、妊娠中
上記の場合はアヴィヤンガを行はないほうがよいので気をつけてください。
まずは、セルフアビヤンガで体の調子を整えよう
アヴィヤンガを習慣的に行うことでデトックスを促し、代謝力を高めてくれます。それによって体の組織細胞の働きを活性化することができます。アンチエイジング、疲労の回復、体の痛みの緩和、睡眠の質をあげる、肌の色つやをよくする、体力アップなどに有効とアーユルヴェーダではいわれています。また、代謝が上がり血液の循環が促されることでメンタルへもよい影響があるでしょう。
体の働きを整えてあげることが幸せへの第一歩になります。まずはセルフアヴィヤンガ(3点セルフトリートメント)から生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考文献:
インドの生命科学 アーユルヴェーダ 上馬場和夫・西川真知子著
アーユルヴェーダセラピスト。
日本アーユルヴェーダスクール認定
アーユルヴェーダ・ライフスタイル・カウンセラー、アーユルヴェーダ・ヘルス・コーディネーター、アーユルヴェーダ・ヒーリング・コンサルタント。
米国補完医療大学Ayurvedic Medicine Practitioner、IPM認定ヘナインストラクター、南インド・ケララ州 アーユルヴェーダガーデンにて施術研修を受ける。
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