アーユルヴェーダで大切に考えられているエネルギーについて、これまでも触れてきましたが今回は、体の中にあるエネルギーについて紹介したいと思います。
空間は、すべての生命の基盤である「プラーナ(生命エネルギー)」が満ち溢れ、私たちの体の中や体のまわりには、絶えずエネルギーが流れているといわれています。私たちの体の中には107個のエネルギーポイント「マルマ(ツボのようなもの)」があるとされています。それと、エネルギーの渦とされる「チャクラ」が存在します。
体を機能させるにはこれらエネルギーが必要となり、エネルギーによって動かされています。
生命エネルギー「プラーナ」とは
プラーナは私たち人間にとって必要不可欠なエネルギーとなります。私たちの体内には、エネルギーの通り道である72000のナディとマルマ・チャクラがあり、そこをプラーナが流れています。
アーサナ(姿勢・ヨガのポーズ)とプラナヤマ(呼吸法)を実践することによってプラーナの流れをよくし、浄化・強化・バランスの効果をもたらします。
プラーナの流れを自分自身で整えるシンプルな方法
- 活気のある人に囲まれて過ごす。
私たちは、周囲のすべてのエネルギーの影響を受けています。嫉妬・怒り・否定的のような負のエネルギーを放つ人を避けて下さい。 - 腹式呼吸をリラックスしてゆっくりと深くていねいに行う。
- 一日の中で10分でも外気に触れる。
少なくとも週に一度は自然に触れる時間を持ちましょう。 - ドーシャのバランスを保つよう心がける。
以下は、各体質の代表的なバランスの取り方となります。
【ヴァータ】 規則正しい生活、身体を冷やさない(外的・内的)
【ピッタ】 無理をせずに休息することを心がける、熱しやすい傾向にあるのでリラックスする時間を持つ
【カパ】 積極的に運動を行い発汗する、スパイスなどをとり体内の流れを促す - プラーナが流れるよう、心と体に滞りがないよう意識する。
瞑想(内観)したときに心にわだかまりはないか?
体に意識を向けたときに痛みや凝りやむくみやはりなど不快感などはないか?
- 活気のある人に囲まれて過ごす。
人体のエネルギーポイント「マルマ」とは
マルマとは、体内にある血管・筋肉・関節・骨・靭帯または腱の交差点にある人体のエネルギーポイントとなります。マルマを刺激することでプラーナが活性し、ブロックされたエネルギーの浄化をすることが可能となります。
人体の主要なマルマポイントはさらに7個のチャクラに接続されています。マルマは、下肢に22、腕に22、胸とお腹に12、背面に14、頭と首に37、合計107点在し、心は108番目のマルマとみなされます。
マルマ療法は、肉体的・感情的・精神的な多くのレベルに機能し、体に劇的な変化をもたらす可能性がありますが、取り扱いには十分な注意が必要となります。
マルマが与える影響
- 慢性、急性の痛みからの解放
- すべてのレベルでの解毒
- 体・臓器機能の免疫・消化・呼吸・心理・神経系の大幅な変化
- より健康な肌へと導き外見に変化を与える
- 体温のバランスを整えドーシャのバランスをとる
- セロトニンを放出し、認知機能の改善や睡眠の質を深める
ここで、自身でできるセルフマルマケアを一つ紹介します。
タラリダヤと呼ばれる手の心臓とされるマルマポイント(下の図の水色で囲っている位置)を刺激します。
このマルマポイントは手の平の中央にあり、アナハタ(第四チャクラ)と関連しており、全身の循環を刺激する重要なマルマポイントとなっています。
ゆっくりと円を描くように刺激をし、少しずつ力を強めながら自分の心地のよい強さで約5分程マッサージします。
また、手のひらが温まるまでこすり合わせることで、このマルマポイントをさらに活性化することもできます。
どなたでも行うことができるシンプルなセルフケアですのでぜひ、行ってみてください。
エネルギーセンター「チャクラ」とは
チャクラとは、サンスクリット語で車輪を意味する言葉です。エネルギーの渦となるエネルギーセンターのようなもので、人間の生命や肉体・精神の働きをコントロールしています。生命エネルギーが集中するポイントです。
背骨に沿って大きなチャクラが7個あります。球体となり、背骨に沿って走っていますが、体の前面・背面・両側を通り抜けて伸びています。
チャクラは、私たちの重要な生命力となります。体の中には少なくとも114個のチャクラがあるともいわれており、72000個のナディがあり、それに沿ってプラーナが移動します。
ここまでをシンプルな言葉にまとめると、生命エネルギー「プラーナ」、エネルギーポイント「マルマ」、エネルギーの渦「チャクラ」、エネルギーの通り道「ナディ」が私たちの体の中で生命維持を行ってくれているのです。
チャクラの役割とは
ここで、簡単にチャクラの役割について触れたいと思います。
チャクラは、外から入ってくるエネルギーのバランスを整え、思考・感情・記憶・経験・行動などに要するエネルギーを与えることに影響しています。それらは、私たちの現在および未来の考え方や行動・感情のバランスにも影響を与え指示しています。
7個の主要なチャクラは、体内の中枢神経および主要な器官に対応し重要な役割を担っています。チャクラのバランスが崩れると各チャクラのあたりにも影響を与える可能性があり、その領域付近の臓器・骨・関節および組織などが含まれます。また、心理的感覚と生理的感覚の両方に注意を払うことも重要であります。
【七つのチャクラ】
- ムーラダーラ(第一チャクラ)
- スヴァディシュターナ(第二チャクラ)
- マニプラ(第三チャクラ)
- アナハタ(第四チャクラ)
- ヴィシュダ(第五チャクラ)
- アジュナ(第六チャクラ)
- サハスラーラ(第七チャクラ)
【チャクラに悪影響な行為】
- 肉体的・精神的に過度のストレスを与える
- 悪い姿勢
- 健康に悪影響を与える食事
- 自分に負担を与える行動や習慣
【チャクラのバランスを取るための行為】
- ヨガを行う
- アーサナ瞑想の呼吸法
- パワースポットや自然豊かなところへ出かける
- 良好な人間関係・動植物に触れ、愛を感じる
- 感謝の気持ちを持つ
- マントラを唱える
- パワージュエリーを身につける
- アロマを用いる
- パワーカラーを用いる
- プラーナの多い食事を心がける
2020.10.28
七つのチャクラの色の意味・場所と活用法~チャクラの色が教えてくれること~
私たちの体の中にはチャクラといわれる「七つの色」が存在するとされています。 チャクラは生命エネルギー(プラーナ)の集まるところで、アーユル...
頭部のケアの重要性
ここまで、体の中にあるエネルギーについてお話してきましたが、ここでは、頭部のケアの重要性についてご紹介します。
アーユルヴェーダでは、頭部はエネルギーにとって一番重要な部位になり、司令塔のような役割を担っています。31ものマルマポイントが頭と首の領域に存在します。これらのマルマポイントは、動脈・静脈・脳神経が交差する点に存在します。
最も緊張しやすい部位ともされ、頭部を支える首や肩へまで緊張がおよび、痛みを抱えていらっしゃる方を多く目にします。
アーユルヴェーダでは、頭皮と頭の領域に究極の若返りへと導きながら、各ドーシャのバランスを保つために、少なくとも2週間に1回のアーユルヴェーダヘッドケアを受けることをおすすめしています。
定期的にアーユルヴェーダヘッドケアを受けることが不可能な方は、自宅でセルフケアをやってみてください。
頭部は、体の最も重要な部分であり、心と脳につながる重要なエネルギーポイントです。アーユルヴェーダヘッドケアを行うことによって、感情的および精神的ストレスを和らげながら、体内のエネルギーの滞りを解放するように働きかけていきます。
アーユルヴェーダヘッドケアが与える影響
- ストレスや不安を解放
- 感情的なストレスや緊張を和らげる
- エンドルフィンが放出される
- 髪の成長を促進
- 脳の機能を活性化
- 良質な睡眠へと導く
- 頭痛を軽減する
- 記憶力・覚醒・認知力を高める
- 髪の抜け毛防止・髪と頭皮に栄養を与え艶やかにする
- 精神的疲労を軽減する
アーユルヴェーダ施術者と健康履歴について話し合い、適切なアーユルヴェーダ薬草オイルを用いて行うようにしてください。
アーユルヴェーダのセルフケアまとめ~目に見えないエネルギーを大切にしてみる
ここまで、アーユルヴェーダの心身のエネルギーについてお話してきましたが、エネルギーについては、日常で私たちが実際に目にすることはありません。ヨガや瞑想を実践していらっしゃる方は、プラーナの存在を体感していると思うので、認識しやすいのではと思います。
たとえば、物が乱雑に置かれた掃除の行き届いていない部屋とシンプルで掃除の行き届いている部屋を想像してみてください。シンプルで掃除の行き届いている部屋のほうが、エネルギーが流れているのが連想されます。私たちの体の中も同じだと考えるとわかりやすいと思います。
滞りを悪くする要因となるものを避け、毎日新鮮なプラーナを体の中に送り込む習慣をつくってみてください。さらに、生活習慣によってできてしまったエネルギーの滞りは、ヨガを実践したり、アーユルヴェーダ専門家に相談したりして、バランスを整えてください。
このようにエネルギーに意識を向けることを日々大切にすることで、心身が整い、よりエネルギーに満ち溢れ、健やかに過ごせるでしょう。
2020.04.30
古来からの贈り物アーユルヴェーダの現代における役割
アーユルヴェーダは、世界を代表する伝統医学です。 私たちが知っている医療という概念では収まりきれない、生活をするうえでの教えのようなものを...
アーユルヴェーダスクール『AYUWEDA』代表取締役
2008年アーユルヴェーダを学ぶ為にスリランカに単身留学。帰国後2009年〜2018年まで在大阪スリランカ名誉総領事秘書と兼任しながらアーユルヴェーダの普及活動に務める。
イベント企画、運営、開催、講師、その他多数メディアにて講師、執筆を行う。
BODYPIT KYOTOにてアーユルヴェーダの施術を行っている。
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