だんだん蒸し暑い日が増えてきましたね。これから暑くなってくる季節にはどんなものを、どのように食べたらよいのか、また、アーユルヴェーダ的おすすめのレシピもご紹介します。
アーユルヴェーダ的、夏の食事法とは?
夏は一年の中でも最も消化力が下がる時期と考えられています。暑い日が続くと氷入りのジュースやキンキンに冷えたビールなど、冷たい飲み物がほしくなってしまうかもしれませんが、これには注意です。冷たい飲み物を摂りすぎてしまうと、胃腸が冷えてしまい、消化力がさらに下がってしまいます。
夏には、アーユルヴェーダの3つの性質の中では「ピッタ」という火の性質が増えます。熱く、鋭い性質を持つため、消化力を下げないように気を付けながら、熱を取る性質のものを多くとるのが夏の過ごし方のポイントです。
アーユルヴェーダには冷性/温性という考え方があります。
冷性は「体の余分な熱をとってくれる性質」、温性は「体を温める性質」という意味です。
体が熱くなる夏の時期には、冷性と呼ばれる体の余分な熱を取ってくれる性質の食べ物を多めに摂るとよいでしょう。冷性といってもキンキンに冷えたビールのように物理的に冷たいものではなく、あくまで体の余分な熱をとる性質のあるもののことをいいます。
また、アーユルヴェーダの6味(甘、酸、塩、辛、苦、渋)の中でも甘味、苦味、渋味の3つの味を多めに摂るとよいです。
夏は、冷性であり、甘味・苦味・渋味である下記のような食材がおすすめです。
ギー、牛乳、ココナッツ、オリーブオイル、生野菜、キュウリなどウリ科の野菜、よく熟して甘味の多い果物、穀類、豆、水。冷性のスパイスやハーブ(コリアンダー、フェンネル、ミントなど)。
冷性のスパイスについて
スパイスにも冷性と温性があります。以下は代表的な冷性のスパイスです。
●コリアンダー
作用:体を冷ます作用、消化促進作用、解毒作用、利尿作用
消化や吸収を促し、下痢にも効果的です。
熱を上げないスパイスなので、ピッタ体質の人にも安心して取れます。
おもに、シードかパウダー(コリアンダーシード、コリアンダーパウダー)または、リーフ(コリアンダーリーフ、パクチー、香菜)の状態で使用されます。
●クミン
作用:興奮・刺激作用、血液浄化作用、駆風作用
消化力を高めて、吸収を促します。腹満や胃の痛み、吐き気を改善します。
おもに、シードかパウダーの状態で使用されます。
逆に、生姜やシナモン、ブラックペッパーなどは温性です。体を温める効果が強いので、暑い日やピッタ体質の方は摂りすぎ注意しましょう。
アーユルヴェーダ的おすすめの夏レシピ
コリアンダーやクミンを使った夏におすすめのレシピをご紹介します。
コリアンダーウォーター
【材料】
- 水 1リットル
- コリアンダーシード 大さじ1~2
【作り方】
常温の水にコリアンダーシードを入れてそのまま一晩おいておく。
ミントやコリアンダーリーフなどの冷性のハーブを一緒にいれてもよい。
翌朝、茶こしで漉して飲む。
●ポイント
暑い夏や体が火照るときにぴったりのドリンクです。煮出すよりも水出しのほうが冷性は強くなります。
キュウリとひよこ豆のサラダ
【材料】(約二人分)
- キュウリ 1本
- ミニトマト 10粒程度
- ひよこ豆(ゆでたもの) 1カップ分
- オリーブオイル 大さじ1
- コリアンダーパウダー 小さじ1/2
- クミンパウダー 小さじ1/2
- レモン果汁 小さじ1
- 岩塩 少々
- コリアンダーリーフ(パクチー) ひとつかみ(お好みで)
【作り方】
- キュウリは1cm各に切る。トマトはヘタを取り1/4サイズに切る。
- オリーブオイル、コリアンダーパウダー、クミンパウダー、レモン果汁、岩塩をボウルで混ぜておく。
- 2のボウルにキュウリ、ミニトマト、ひよこ豆を加えて、和える。お好みでコリアンダーリーフも加えて混ぜ、塩加減を調整して完成。
●ポイント
冷性の食材であるキュウリ、ひよこ豆を主役に、冷性のスパイスであるコリアンダー、クミンを使ったサラダにしました。このふたつのスパイスは、体を熱くせずに消化力を高められるので使用しました。コリアンダーリーフも冷性ですのでお好みでお使いください。
また、オイルも冷性であるオリーブオイルを使っています。海塩は温性なので、ここでは冷性である岩塩を使っています。岩塩の硫黄のような香りもアクセントとなりおいしいです。
かぼちゃのココナッツポタージュスープ
【材料】(約二人分)
- かぼちゃ 1/8個分(約300g)
- 水 約300cc
- ギー 小さじ1
- クミンパウダー 小さじ½
- 塩 ひとつまみ
- ココナッツミルク 100cc
【作り方】
- かぼちゃの種と綿をとり、皮を向き、薄くカットする。
- 鍋に1のかぼちゃとひたひたの水を入れ、火を点ける。沸いたら弱火にし10分火にかける。
- かぼちゃが煮崩れたら、ブレンダーかミキサーで滑らかにする。
- ココナッツミルクを加えて温める。
- 小鍋にギーを入れ弱火で溶かし、クミンパウダーを加え、ギーとなじんだら3の鍋にじゅっと加える。
- 塩で味を整えて完成。
●ポイント
夏が旬で甘味の野菜であるかぼちゃを使い、消化にやさしいスープにしました。ピッタを落ち着けてくれるギーを使っています。ギーを加えることでコクも出ます。アーユルヴェーダでは牛乳と塩を一緒に取ることは、毒が溜まりやすいのですすめられていません。ここでは冷性のココナッツミルクを使ってポタージュにしました。
クミンパウダーが加わることで消化促進効果を強化し、ココナッツミルクと合わせてエスニック風味にしました。
2021.04.09
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参考文献:
上馬場和夫・香取薫(2010.9.25)『アーユルヴェーダ・カフェ』地球丸
佐藤真紀子・香取薫(2012.8.2)『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』径書房
蓮村誠(2010.8.3)『究極のデトックスレシピ』PHP研究所
「アンドスパイス」代表
メーカーの営業職として忙しく働いていた頃、アーユルヴェーダの考えをベースにしたインド料理店の沁み渡るような優しい味に感動し、アーユルヴェーダスクールに通い始める。退職後、ベジタリアンレストラン、南インド料理店で勤務し、南インドカレー店「アンドスパイス」をスタート。不定期で料理教室も開催してる。
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