アーユルヴェーダは、病気の治療と予防の分野に分かれ根本からの改善を目指しています。心身のバランスを崩す要因は多岐にわたり、バランスの整った日々を過ごすために毎日の生活習慣をご自身で確認しながら調整を行っていきます。
私たちは日々食事をしますが、食事をしたあと食べ物は栄養を吸収することと、老廃物を排出することにわかれます。老廃物といっても、便や尿、汗などだけではありません。
今回は老廃物の中でも健康のバロメーターのひとつとして確認する「爪」の状態と「髪」についてお話したいと思います。
さらに代表的な体内の器官の活性化についてご紹介していきます。
老廃物の排出 爪の状態とセルフケアー編
私たちは、食べ物を口にすると、7つの組織を経て体の外へ排出されていきます。7つの組織の中の老廃物となる「爪」と「髪」。爪の状態を見ることによって、体の内側の状態を推しはかることが可能となります。
爪の状態にあらわれるバロメーター
①縦線が表れている爪
体内の栄養素の吸収不良の兆候を示しています。
②薄爪
貧血・エネルギーの低下・慢性疲労や体内でのアグニが正常に行われていない兆候を示しています。アレルギー性食品の摂取過多の疑い。
【①と②(縦線がある爪、薄爪)の改善策】
- 温かく調理された食事を行う。
- 肉の消費を制限する。
- 週に一度、断食を行いアグニの働きの正常化を促す。
- ストレスを減らす。
- スパイスを摂取して体内の循環を促す。
③横線が表れている爪
病気や感染の兆候を示しています。代謝の問題や甲状腺機能低下。
④半月不在の爪
代謝が悪くアーマが蓄積している兆候を示しています。
【③と④(横線がある爪、半月不在の爪)の改善策】
- 昼食を一日の最大に栄養を摂取する食事とする。
- 食事に一貫したルーティンを行う。
- 冷たい飲料は控える。
- リラックスして食事を行う。
- 食べすぎないようにする。
- ヨガや軽い運動を行う。
- スパイスを摂取して体内の循環を促す。
⑤爪の周りが赤く膨らんでいる爪
体内に寄生虫がいる可能性があることを示している。
この場合は専門家または、医師に診ていただくことをおすすめします。
⑥白い斑点が表れている爪
カルシウム・マグネシウム・亜鉛が欠乏している可能性があることを示している。
【⑥の爪の状態と改善策】
食生活の見直しをおこないバランスを整える。
人差し指・・・肺にカルシウム沈着の可能性
中指・・・腸にカルシウムが吸収されていない可能性
薬指・・・腎臓にカルシウムが沈着している可能性
⑦凹みがある爪
過労や過剰なダイエットなどにより食事を抜いている。マイナスの感情怒り・悲しみ・憎しみなどを抱いている。
【⑦の爪の状態と改善策】
食生活の見直しをおこないバランスを整える。リラックスする時間を持ちストレス緩和をはかる。
⑧黄色の爪
免疫力の低下・肝臓に問題がある兆候を示している。
【⑧の爪の状態と改善策】
睡眠不足・運動不足・疲労が溜まっていないかを考え、改める。
食生活では、油・塩分・アルコールなどを摂りすぎていないかを考え、改める。
⑨紫色の爪
低酸素症・喘息・肺や心臓に問題の兆候を示している。
⑩爪を噛む
過度の不安・心配・恐怖の抱いている兆候を示しています。
【⑨⑩までの爪の状態の改善策】
不安やストレスを和らげるために深い呼吸を行いリラックスをする。
アロマを焚く ラベンダー・ユーカリ・クラリセージが効果的。
おすすめの爪のお手入れ法
温水にレモン果汁をいれ、爪をしばらく浸し綺麗にふき取ってからオイルを用いて爪のトリートメント(マッサージ)を行う。
アーユルヴェーダのオイルがない場合は下記のオイルで代用ください。
- 太白ごまオイル
- アーモンドオイル
- オリーブオイル
使用するまえにキュアリング※することをおすすめします。
人肌の温度に温めて使用すると浸透しやすいです。
※キュアリングとは、オイルを鍋にいれてから火をつけます。
弱火で温度を100度にあげます。100度になったら火を止めて粗熱をとり、煮沸消毒済のボトルにいれて保存します。
老廃物の排出 髪の状態とセルフケア編
髪のコシと艶は健康のしるしとされています。髪の状態を確認しながらセルフケアを行ってみてください。
髪の健康が損なわれている兆候を表す各症状
ドライヘアー
パーマやヘアカラーによるダメージ
ドライヤー類や日焼けなど熱や乾燥によるダメージ
亜鉛・必須アミノ酸不足
が考えられる。
オイリーヘアー
油っぽい食べ物を控える。
髪をよくとかすこと。
フケ
アグニが正常に行われていない可能性がある。
乳製品・脂肪質の食べ物を控えること。
アーユルヴェーダヘアケアのルーチン
毎日行うヘアケア
- 髪の毛をブラシや櫛などで優しくとかす
- 運動を行い体内の循環を促す
- 育毛に効果的な食事を行う
- 最低6時間の睡眠を行う
- 髪の毛を優しく洗髪する
- 紫外線から髪を守る
毎週行うヘアケア
- 頭皮と髪を温かいオイルを用いてトリートメント(マッサージ)する
- ヘアマスクを行いキューティクルを健康へと導く
ヘアマスクレシピ:
- 温めた牛乳大さじ4、同量のはちみつ、アムラパウダー(アーユルヴェーダハーブ)大さじ2を混ぜ合わせ、なめらかなペーストを作ります。
- 髪にぬり20分間そのままおきます。
- シャンプー・コンディショナーで洗い流します。
牛乳に含まれる乳酸には頭皮の汚れを取り除くのに役立ちます。はちみつは、髪を元気にし保湿効果が優れています。
はちみつは、アーユルヴェーダ用のはちみつがあり、私はそれを使用しています。
アーユルヴェーダ用はちみつが手に入らない場合は、市販の生ハチミツなどで代用ください。
※アーユルヴェーダのヘアマスクを作るのが難しい場合は、市販のヘアマスクを利用してください
毎月行うヘアケア
- アーユルヴェーダヘッドトリートメントをうける
(期間は個人差あり) - 髪の毛をカットして整えます
器官の活性化のために腸のホームレメディ
体の内側を整えることは、器官の活性化につながり、健やかな爪や髪を保つことにもなります。
大腸を健康に保つためには、ご自身の体型に合った食事を適切な時間に、適切な量を摂取します。そして冷やさないことです。
大腸は体の機能をサポートする大切な役割を担っています。栄養素を吸収し、ホルモンバランスを保ち、皮膚の健康を維持するのに重要でありアーマや老廃物の除去を行っています。また消化器系の最後の器官となり食物が消化され、その栄養素が小腸に吸収された後、大腸へと受け継ぎます。老廃物は便となって外へ排出されなければいけません。
毒素が結腸に蓄積されるとこれらの毒素は結腸内の健康な細菌の機能を妨げるだけでなく、頭痛・腹痛・不眠・肩こり・疲れやすい・自律神経失調症など多くの健康問題の根本原因となる可能性があります。
アーユルヴェーダ的 腸のクレンジングの利点
- ドーシャのバランスを整える
- 減量に役立つ
- 便秘を防ぐ
- より質の高い睡眠を促進する
- 体を強化する
- 栄養の吸収を促す
- 免疫システムを高める
- アーマを取り除く
- 自律神経の乱れを整え精神が安定する
白湯洗浄
アーユルヴェーダで取り入れられている腸の状態を整えるために効果的といわれている簡単な方法をご紹介します。
毎日6~8杯のぬるま湯を飲むこと。
たったこれだけです。器官の水分補給にもなり、結腸に蓄積された毒素を排出するのに役立つとされています。
2019.12.10
体も心も元気に若返る!正しい白湯の作り方・飲み方
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腸の活性を促す作用が期待できる食品
- エキストラバージンオリーブオイル
- 植物性乳酸菌を含む発酵食品
納豆・味噌・キムチ・ザワークラウト・漬物・ピクルス・リンゴ酢 - オリゴ糖を含む食品
たまねぎ・ごぼう・アスパラガス・にんにく・大豆・てんさい糖・バナナ - 水溶性食物繊維を含む食品(善玉菌を活性させる役割)
ゆず・レモン・キウイ・やまいも・オクラ・モロヘイヤ・さつまいも・里芋・ひじき・こんぶ・わかめ・こんにゃく - 不溶性食物繊維を多く含む食品(腸の運動を活性化させる役割)
切り干し大根・かぼちゃ・じゃがいも・キノコ類・たけのこ・大豆などの豆類
体調がすぐれないときや過度におこなうのは控えてください。
器官の活性化のための深呼吸のすすめ
呼吸は生まれてから終わりを迎えるまで繰り返される行為。
あまりにも自然に無意識に繰り返されている行為なので意識をされている方は少ないように思います。
ですが、呼吸も先述の腸と同じように、体を整えるということにとても有効です。
ヨガや瞑想では、呼吸を大切に考え、呼吸をすることによって新しいプラーナ(エネルギー)を体内に取り入れ、そして体内に酸素を取り入れ、体内の細部まで巡らすことによって、体の中が新しく変化し代謝も上がり、それらの行為によって老廃物の排出も促すことになります。さらに横隔膜を動かすほどの深い呼吸をすることによって、各器官への刺激になり活性化する効果を期待できるとしています。
意識を呼吸に向け、上半身が膨らむかのように深く息を吸い込みます。
細く長くお腹と背中がひっつきそうになるよう最後の一滴の息が体内に残るイメージで吐き切ります。
プラーナ(エネルギー)が体内に巡りわたるイメージしながら丁寧に深く静かに繰り返して見て下さい。
健康のバロメーター「爪」「髪」から健康を自分で守る、育む
日常の暮らしを思うとき、つい自分のことよりも周りに意識が向いてしまうかもしれません。健やかな人生を過ごすために、一日の中で自分に意識を向ける自分時間を大切にしてみてください。これは、健康を自分で守ることにつながっていきます。
若いときは、健康でいられることが当たり前のように感じやすい傾向にありますが、年齢を重ねると、体や心に与えてきた負荷や老化が表面化してきます。
健康のバロメーターとして役立つ「爪」や「髪」の状態を見て、体の些細な変化に素早く気付き対応するためにも、ぜひ、上記セルフケアを実践してみてください。
アーユルヴェーダスクール『AYUWEDA』代表取締役
2008年アーユルヴェーダを学ぶ為にスリランカに単身留学。帰国後2009年〜2018年まで在大阪スリランカ名誉総領事秘書と兼任しながらアーユルヴェーダの普及活動に務める。
イベント企画、運営、開催、講師、その他多数メディアにて講師、執筆を行う。
BODYPIT KYOTOにてアーユルヴェーダの施術を行っている。
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