アーユルヴェーダでは食事、生活習慣はとても大切です。「季節に応じた食事や生活習慣を知り、それを実践する人は、体力が増し、肌艶がよくなる」といわれています。(参考記事:花粉症はデトックス!アーユルヴェーダの花粉症対策・セルフケア)
今回は、アーユルヴェーダ的暮らし方として、「春の過ごし方」「春の食事方法」についてご紹介します。
冬の間に体に蓄積されたカパドーシャを調整するには、まず、体を冷やさないようにしてください。暖かくなってくると、春のファッションを楽しみたくなりますが、冷やさないように気をつけましょう。また、冷たい飲食物は避けましょう。
温めたごま油で、全身のマッサージをして巡りを整えることも効果的です。
運動をすることもよいです。だらだらとしてしまう怠惰さは、カパドーシャを増やすことになります。
そのほか、早寝早起きを心がけましょう。ポカポカ陽気は眠気を誘いますが、昼寝は禁物です。
春におすすめの食事法や食材を取り入れ、春に合った過ごし方の参考にしてください。
カパドーシャを整える食事法
消化力が高かった冬が過ぎ、春になると消化力は少しずつ弱まってきます。溶け出したカパドーシャが、消化の火を弱めてしまうからです。すべての病気は消化力の低下により発症するとされています。春にさまざまな不調があらわるのはそのためなのです。
食事をする際には、『消化力を下げない食事をすること』を心掛けましょう。
- 消化に負担のかかるものは控える。
揚げ物など消化に負担のかかるものは控え、消化によく胃腸に負担の少ないものを食べましょう。 - 粘液を増やす食べ物は控える。
たとえば、ヨーグルト、チーズ等の乳製品、バナナ、胡瓜、食べ合わせの悪いもの、新米など収穫したてもの※日本では、花粉症にヨーグルトがいい!といわれますが、アーユルヴェーダ的にはよくありません。カパドーシャを増やす性質があるため、粘液を必要以上に分泌させるためです。 - 消化を助けるスパイスをとる。
クミン、ジンジャー、シナモン、ターメリックなど - 夜遅くに食事をするのは控える。
アーユルヴェーダ的「春」におすすめの食材
著者撮影
- 苦味のある食材を摂る。
ふき、たらの芽、つくし、わらび、たけのこ、ぜんまい、よもぎ、菜の花、キャベツ、ブロッコリーなどの山野草や野菜 - 1年以上保存した大麦、小麦、米、ハチミツを摂る。
- お酒は、蒸留酒(焼酎、ウィスキー、ラム酒等)、ワイン、はちみつ酒がおすすめ。
春の味覚
「苦味」「渋味」「辛味」を意識して摂りましょう。カパドーシャを整えます。
「甘味」「酸味」「塩味」はカパドーシャを増やすので控えることを意識してください。
- 苦味は乾燥性がありカパドーシャを下げる。
野草、山菜、茄子、葉野菜、菜の花、苦瓜、ターメリックなど - 渋味は、体内の水分や脂肪を除去する働きがある。
豆類、葉野菜、蜂蜜、くるみ、ごま、緑茶など - 辛味は、経路の通りをよくする。
唐辛子、黒胡椒、生姜など
しかし、まず一番に意識することは、『甘味・塩味・酸味・辛味・苦味・渋味』の6つの味を一度の食事で味わうことです。
アーユルヴェーダでは、6味を味わうことをとても大切にしています。それは、『6味を味わうと人は満足感が得られる』というからです。
食事は、空腹を満たすものではなく、幸福感、満足感を得るためものであることを忘れてはいけません。
春におすすめのスパイスとその使い方
【クミン】消化促進 体力増強 駆風作用 血液浄化
- クミンシード大さじ1を乾煎りにし、水500mlを加えて5分煎じて飲む。
- クミンパウダーを炒め物や煮物に加える。
【生姜】消化促進 強精作用 強心作用 発汗作用 去痰作用 駆風作用
- 「生姜のスライス+岩塩パラパラかける+レモン汁」を食前に食べて消化促進。
- ジンジャーパウダーを白湯や紅茶に入れて飲む。
【黒胡椒】消化促進 強心作用 去痰作用 駆風作用 解熱作用
- カパを下げる働きが強い。どんな料理にも使いやすいので、積極的に取り入れましょう。
- 乳製品、冷性の食品を食べるときには特に意識して摂取する。
【ターメリック】抗菌作用 抗アレルギー作用 浄血作用
- 「牛乳1カップ+ターメリック小さじ1/4」を加えて飲む。
- 「白湯1カップ+ターメリック小さじ1/4+生姜粉小さじ1/8」を混ぜて朝に飲む。
春におすすめのアーユルヴェーダレシピ
菜の花のクミン炒め
著者撮影
【材料】4人分
- 植物油 大さじ1
- クミンシード 小さじ1
- 玉ねぎ(スライス) 80g
- 菜の花(一口大) 200g
- ターメリック 小さじ1/4
- チリパウダー 小さじ1/4
- 塩 小さじ⅓
著者撮影:クミンシード
【作り方】
- フライパンに油を中火で熱し、油が温まったらクミンシードを加えて弾かせる。
温まっているかどうかのチェックは、少量のクミンシードと落としてみてください。
- クミンシードがシュワシュワと踊り、香ばしいいい香りがしてきたら、玉ねぎを加えて炒める。
- 玉ねぎがしんなりしたら、菜の花を加えて軽く炒め、ターメリックパウダー、チリパウダー、塩を加えて全体に馴染ませる。蓋をして弱火で3分蒸らす。
- 味を整えて出来上がり。
クミン炒めを自宅で作る時のポイント
- 炒める際に、生姜の千切りを加えてもスッキリした味わいでおいしい。
- 豚肉などのお肉や、人参、じゃが芋などの野菜を加えてもおいしい。
- 最後に醤油をほんの少し垂らしてもおいしい。その場合は塩を少し減らしてください。
春におすすめのレシピ、ぜひお試しください。
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※レシピ画像:著者撮影
参考資料:
VB.アタヴァレー著/稲村晃江訳(1987.7.20)『アーユルヴェーダ 日常と季節の過ごし方』平河出版社
上馬場和夫/西川眞知子著(2002.5.10)『インドの生命の化学アーユルヴェーダ』農山漁村文化協会
香取薫/佐藤真紀子著(2014.10.3)『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』径書房
デイビット・フローリー、ヴァサント・ラッド著/上馬場和夫訳(2000.5.1)『アーユルヴェーダのハーブ医学』出帆新社
管理栄養士。アーユルヴェーダ料理教室SpiceSpice主宰。バックパッカー時代、インドで体調を整えるスパイス料理に魅了され定期的に渡印。ホームステイにこだわり、心温かい家庭料理を習う。香りや味で料理をおいしくするスパイスのように、日常の暮らしを豊かにする、スパイスのような智慧と経験を味わう教室を目指している。
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