今回は春から初夏におすすめのデトックス食材やレシピを紹介します。
アーユルヴェーダでは、春は冬の間に寒さを凌ぐために体内に溜めこんでいたカパという粘質の重い性質(エネルギー)がとけ出す季節といわれています。
春におすすめのスパイスや食材。ぜひ毎日の食事の参考にしてみてくださいね。
春はデトックスの季節
このとけ出したカパのエネルギーは、花粉症や鼻水・鼻づまりなどのアレルギー鼻炎を引き起こしたり、体がだるい、重い、やる気が出ない、すぐに眠くなるなどの心身の不調を引き起こしてしまうことがあります。
春にはこの増えてしまったカパのエネルギーを減らし、デトックスしていくことが大切です。
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2020.03.25
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春に控えたほうがいい食材とおすすめの食材
アーユルヴェーダでは、増えている性質(エネルギー)と反対の性質のものを摂るとよいという考え方があります。
カパという性質は
- 重く
- 冷たく
- 粘性
の性質を持っています。そのため、肉や魚、小麦などの重い性質のもの、果物やきゅうりなどの瓜類、砂糖などの冷性(体を冷やす性質)のもの、お餅などの粘り気のあるものは控えるとよいでしょう。また、ヨーグルトは粘液を分泌させる作用があると考えられているため、こちらもカパが増えているときにはおすすめしません。
おすすめの食材は?
では、おすすめの食材はというと
アーユルヴェーダであげている6味(甘、酸、塩、辛、苦、渋)の中では、甘味、酸味、塩味を控えめにし、苦味、渋味、辛味を多めにとるのがこの時期おすすめです。
春には、たけのこや菜の花、ふきのとうなどの山菜など、苦味や渋味のある野菜が旬を迎えますので、積極的に摂取するとよいでしょう。
また、辛みのスパイスもこの時期にはおすすめです。
春におすすめのスパイス
ブラックペッパー
科名:コショウ科
使用部位:果実
原産地:インド南部
和名:黒胡椒
香り:刺激が強く爽やかな香味。辛味成分はベピリンと呼ばれるもの。
ブラックペッパーは、体の中の消化の火を燃え立たせ、消化液の分泌を促し、食物の味をよくする効果も期待できます。生の食物などを食べたときの解毒剤としても効果的です。
去痰剤として働き、鼻汁を除去し、粘液の分泌も抑える作用も期待できます。
■ブラック・ペッパーの作用
興奮・刺激、去痰、駆風、解熱、駆虫など
■主な適用症
慢性消化不良、声のかすれ、咳、下痢、肥満、鼻づまり、アレルギー性湿疹、発熱、手足の冷え
トリカトゥ
また、この時期におすすめなのがトリカトゥです。
これは、ジンジャーパウダー、ブラックペッパー、ロングペッパー(ヒハツ・長胡椒)を同量づつ合わせたアーユルヴェーダのミックススパイスです。
「トリ」は「3つの」、「カトゥ」は「辛味」を表します。
この3種類のスパイスをご自身でミックスして作ることができます。ロングペッパーは聞きなれないスパイスかもしれませんが、ネットショッピングなどでも購入できます。
辛味は消化力を刺激し、栄養素の吸収力を高め、老廃物をデトックスさせます。
食後に小さじ1/2程度の量を非加熱のはちみつ*とともに摂りましょう。
但し、ピッタという火の性質が多い方や妊娠中の方は控えてください。
カパが増えているときに、甘いものは控えめにと書きましたが、はちみつだけは例外です。
アーユルヴェーダでは、はちみつは唯一カパのエネルギーを減らしてくれる甘味料だといわれているからです。
*はちみつについて・・・アーユルヴェーダでは、加熱したはちみつは毒となるとされているため、非加熱=「生」のはちみつを使用する。
春のアーユルヴェーダレシピ
1.たけのこのギー炒め
著者撮影
【材料(2人分)】
- 茹でたたけのこ 1/4個 (中サイズ)
- ギー 20g
- しょうゆ 小さじ1
- トリカトゥ 小さじ1/2~1 (お好みで)
著者撮影, 自家製トリカトゥ
【作り方】
- 茹でたたけのこは、穂先と根元に切り分け、どちらも1㎝くらいの幅にスライスします。
- 温めたフライパンでギーを溶かし、スライスしたたけのこを並べて中弱火で焼きます。
両面にいい焼き目がついたらしょうゆを加え、いい香りになったらトリカトゥもパラパラと加え、調味料をよくからめて盛り付けます。
※塩味が足りないようなら塩を足します。
【ポイント】
フレッシュなたけのこが出回っている時期にぜひお試しください。
たけのこを茹でるのはハードルが高く感じるかもしれませんが、八百屋さんで茹でたたけのこを売っている場合もあります。
トリカトゥはたくさん入れると辛くなりますので、味見をしながら調整してみてください。
トリカトゥがなければ、ブラックペッパーやしょうが、ガラムマサラなど、辛味のあるスパイスで試してみてください。
2.菜の花のマスタード和え
著者撮影
【材料(2人分)】
- 菜の花 1/2束
- 粒マスタード 小さじ1
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 ひとつまみ
【作り方】
- 鍋にお湯を沸かして塩(分量外)を多めに入れ、菜の花を30秒ほど茹でます。
- 茹でた菜の花をざるにあげて冷まします。
- 粒マスタード、オリーブオイル、塩を合わせておきます。
- 冷ました菜の花の水をふき取り、3~4cm幅に切り、合わせた調味料に和えます。
【ポイント】
マスタードはアブラナ科の種子で、和名は辛子(カラシ)というように、ツンとした辛味が特徴です。同じくアブラナ科でツンとし辛味や苦味を持つ菜の花を合わせてみました。
春には、白菜や小松菜など色々な野菜の菜花が出回りますし、春が旬のアスパラガスなどの野菜で作ってみてもよいでしょう。
【おまけレシピ】自家製マスタードの作り方
【材料(作りやすい分量)】
- ブラウンマスタードシード 30g
- イエローマスタードシード 30g
- 酢 100g~
- 塩 小さじ1/2程度
- はちみつ(非加熱のもの) 小さじ1/4~(お好みの量)
【作り方】
- 二種のマスタードシードと酢を合わせて1日おきます。マスタードシードが酢を吸うので、ひたひたより少なくなっていたら酢を足します。
- マスタードシードが酢を十分吸ってふくらみ、つんとした辛味が和らぐまで3~5日ほどおきます。
- ペースト状にしたい場合には、ミキサーやすり鉢を使ってお好みの状態にすりつぶします。
- 塩とはちみつを加えて調味します。
【ポイント】
ブラウンマスタードシードだけだと、辛味が強くなるので、ブラウンとイエローを半々づつにしていますが、割合はお好みで決めて下さい。
参考資料:
上馬場和夫『アーユルヴェーダ・カフェ』地球丸、2010
香取薫/佐藤真紀子『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』径書房、2012
蓮村誠『究極のデトックスレシピ』PHP研究所、2010
蓮村誠/青山由紀『からだを整えるアーユルヴェーダ式毒だしベジべんとう』PHP研究所、2013
日沼紀子『スパイス&ハーブ料理の発想と組み立て』誠文堂新光社、2014
写真=pixabay(一部)
「アンドスパイス」代表
メーカーの営業職として忙しく働いていた頃、アーユルヴェーダの考えをベースにしたインド料理店の沁み渡るような優しい味に感動し、アーユルヴェーダスクールに通い始める。退職後、ベジタリアンレストラン、南インド料理店で勤務し、南インドカレー店「アンドスパイス」をスタート。不定期で料理教室も開催してる。
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