最高の油「ギー」
前回の記事でご紹介したレシピ、インドの養生食「キチュリ」の仕上げに、「ギー」という油を加えましたが、このギーとは何でしょうか?
ギーとは、アーユルヴェーダではとても重要な食材で、バターからタンパク質や不純物を取り除いた、澄ましバターのことです。
不純物がないので代謝の過程で体に余分な負担を一切かけない油で、腸内への吸収性が高く、消化力が落ちて悪化した腸内環境を整えるといわれています。
アーユルヴェーダの経典では、「牛の乳で作られたギーは、記憶力を向上し、知性を高め、消化力、精子、オージャス、カファと良質の脂肪を作る力となるヴァータとピッタを抑え、解毒、狂気、消耗、熱を取り除く最高の油分である」といわれており、油分として摂取することがすすめられています。
簡単にいうと、ギーは最高の油分であり、記憶力の向上や、知性を高めたり、消化力やオージャスを増やし高めるといわれています。オージャスとは、生命のエネルギーや活力素とも呼ばれ、免疫力や自然治癒力を高めてくれるものです。ギーは、余分な熱を取り除く性質もあります。
このギーは家庭でもバターから手作りすることができますので、作り方を紹介します。
家庭でもできる「ギー」の作り方
筆者撮影
【材料】
バター 450g
※作りやすい量
【用意するもの】
- 厚手の鍋(ホーローやステンレスなど)
- 木べら
- ざる
- クッキングペーパーかさらし布
- 保存容器(煮沸消毒した清潔なビンなど)
【作り方】
- 厚手の鍋にバターを塊のまま入れて中火にバターを溶かす。
- バターが完全にとけたら弱火にする。
- ぐつぐつと音がしながらクリーム状の白い泡が表面に浮いてくる。
- しばらくすると、大きな泡がぶくぶくと出てくるようになる。
カラカラと音がしながら大きな泡がぶくぶくと出続ける。
- だんだんと泡が小さくなっていきます。
- 最後にはまたクリーム状の泡になっていく。
(この時、音もだんだん大人しくなってきて、甘い香りがしてくる。)
- 白い泡をそっと寄せて、鍋底の沈殿物が茶色くなっていたら、火を消す。
- クッキングペーパーを3枚程度重ねて、ざるに重ねて漉す。
(コーヒードリッパーにクッキングペーパーを重ねて使ってもよい。)
- 黄金色に輝くギーのできあがり!必ず冷めてから蓋をする。
「ギー」を作るときのポイント
- 火を強くしたくなるかもしれませんが、焦げやすくなってしまうので、弱火でじっくりと行います。
- 保存方法は室内で常温で行います。冷蔵庫に入れると結露した水分により、ギーが傷んでしまうことがあります。
「ギー」の使い方
- 炒め物やカレーなど、油の代わりに何でも使ってみましょう。
- 野菜スープや煮物などの仕上げに落とすだけでコクがでます。
- トーストの上にバターの代わりに塗ってみてください。
- 1日大さじ1程度をめどに摂取してください。
ギーを摂取することで、消化力をアップし免疫力を高め、健康的なアーユルヴェーダライフをおくりましょう。
参考:
上馬場和夫(2010.9.25)『アーユルヴェーダ・カフェ』地球丸
香取薫/佐藤真紀子(2012.8.2)『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』株式会社径出版
蓮村誠(2010.8.3)『究極のデトックスレシピ』PHP出版社
「アンドスパイス」代表
メーカーの営業職として忙しく働いていた頃、アーユルヴェーダの考えをベースにしたインド料理店の沁み渡るような優しい味に感動し、アーユルヴェーダスクールに通い始める。退職後、ベジタリアンレストラン、南インド料理店で勤務し、南インドカレー店「アンドスパイス」をスタート。不定期で料理教室も開催してる。
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