お正月が過ぎ日に日に陽が長くなってきました。日本の暦では立春(今年は2月3日が立春なので節分は2月2日です)より春が始まるとされています。インドの天文学でいうと冬至は2021年1月14日で「マカラ・サンクランティ」と呼び、この日から太陽の力が強くなっていきます。
暦上では春が近づいてきていますが、まだまだ寒さは厳しい日が続いています。今年は寒さに加え感染症にも気をつけた暮らし方が大切です。
アーユルヴェーダで見る「冬」について
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冬は冷たい風が吹いて体が冷え、空気が乾燥していることでエアコンなどの暖房機器による乾燥がさらに体に影響を及ぼします。この季節をアーユルヴェーダ的に見るとヴァータ(風のエネルギー)が増悪しやすい季節となります。そのため、関節痛、凝り、頭痛、冷え、乾燥、夜中に目が覚めるなどの症状がみられやすくなります。
アーユルヴェーダでは季節の変化に応じた過ごし方をとても大切にしています。
今回は、冬の季節のヴァータと上手に付き合う過ごし方をご紹介していきます。
冬は体力、消化力が強くなる季節
冬は肌で寒さを感じます。その寒さから体を守るように私たちの体の熱は、体の内側に集まり、消化力や体力が強くなります。アグニ(消化力)が活性化され、体の新陳代謝も活発になり、女性は妊娠しやすい状態にもなります。滋養のあるギー、牛乳、肉、ごま、季節の食材を摂り入れ、ヨガやピラティス、ウォーキング、軽いジョギングなどの運動をしっかりと行うことがすすめられています。体を動かすことでぐっすりと睡眠をとることもできるでしょう。
ゆるやかに体をあたためましょう
温かい白湯を起床時や水分補給時に摂るようにしましょう。白湯を飲むと消化力が上がり、新陳代謝がよくなり体を温め、内側から整えてくれます。
太白ごま油を使ったセルフトリートメントもおすすめです。全身、または頭、耳、足の裏の3点をやさしく揉むようにしたあと、40度前後のお風呂でじわっと汗が出てくるまでゆっくりと温まります。オイルトリートメントをして入浴した後の肌はしっとりとしてするため、乾燥肌の改善にもつながります。
アーユルヴェーダ的 冬におすすめの食べ物
①油分と水分のある温かい食べ物
寒い季節は、ギーなどの油を使った料理がおすすめです。
消化力が強い季節なので脂肪分のあるお肉や根菜やきのこ類がたっぷりと入ったスープや煮物がおすすめです。冷たい生野菜サラダは体を冷やしてしまうので温野菜にし、岩塩とオリーブオイル、スパイスやハーブを少しふりかけるととてもおいしく召し上がれます。
②スパイスを食事に取り入れる
スパイスを取り入れることで消化力が上がり、体を内側からポカポカと温めてくれ、免疫力がアップして感染症予防にもつながるとされています。特にショウガ、ターメリック(ウコン)、ブラックペッパー、シナモン、クローブは体を温めてくれる代表的なスパイスですので、積極的に取り入れましょう。
③甘味、酸味、塩味はヴァータドーシャを整える
アーユルヴェーダでは、1回の食事に6味(甘味・酸味・塩味・辛味・苦味・渋味)をそろえたものがバランスのとれた食事といわれています。その中でもヴァータドーシャを整えるのが「甘味、酸味、塩味」になります。甘味は自然の甘さのある穀類、黒糖、乳製品など、酸味は柚子などの柑橘類、塩味はお味噌や天然塩などを摂るようにしましょう。
冬におすすめの食材やレシピについては、こちらも参考にしてみてください。
アーユルヴェーダ的「冬」におすすめのメニュー
ジンジャー甘酒
ショウガは体を温め消化力を上げる最良のスパイスといわれています。
甘酒は米糀を発酵させて作られるノンアルコールの甘味ドリンクです。砂糖が入っていないのにも関わらずとても甘くておいしく、栄養価も高いことから飲む点滴ともいわれています。購入の際には、米糀から作られている「米糀甘酒」を選ぶようにしましょう。
【材料】1人分
- 米糀甘酒 200ml
- おろしショウガ 小さじ1(またはジンジャーパウダー 小さじ1/3)
【作り方】
- 小さな鍋に甘酒とおろしショウガを加え、弱火でゆっくりと加熱する。
- カップにうつして、完成。
※作り方はレシピ動画も参考ください。
スパイスチャイ
体を温めるスパイスの入ったミルクティーは、この時期にピッタリのドリンクです。
【材料】4人分
- 紅茶(アッサム) 小さじ山盛り4杯
- ショウガ(スライス) 4枚(チューブ小さじ1でも可)
- シナモン 3㎝くらいの長さを2本
- クローブ 4粒
- カルダモン 2粒
- 牛乳(豆乳も可) 400㏄
- きび糖(黒糖など) お好み(今回は、小さじ山盛り4)
【作り方】
①鍋にお湯を400㏄沸かし、沸騰したら紅茶、ショウガ、シナモン、クローブ、カルダモンを加えて5分程度中火で煮出す。
②牛乳を加えてさらにに中火で5分程度煮る。
③きび糖を加えてお好みの甘さにする。
④茶漉しで濾してカップに注ぐ。
※作り方はレシピ動画も参考ください。
ともに、とても簡単なレシピですので、ぜひお試しください。
参考資料:
VB.アタヴァレー著/稲村晃江訳(1987.7.20)『アーユルヴェーダ 日常と季節の過ごし方』平河出版社
上馬場和夫/西川眞知子著(2002.5.10)『インドの生命の化学アーユルヴェーダ』農山漁村文化協会
香取薫/佐藤真紀子著(2014.10.3)『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ』径書房
デイビット・フローリー、ヴァサント・ラッド著/上馬場和夫訳(2000.5.1)『アーユルヴェーダのハーブ医学』出帆新社
メニュー画像:著者提供
管理栄養士。アーユルヴェーダ料理教室SpiceSpice主宰。バックパッカー時代、インドで体調を整えるスパイス料理に魅了され定期的に渡印。ホームステイにこだわり、心温かい家庭料理を習う。香りや味で料理をおいしくするスパイスのように、日常の暮らしを豊かにする、スパイスのような智慧と経験を味わう教室を目指している。
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