病気の要因となるアーマ
アーユルヴェーダでは、ドーシャのバランスを整えることとアグニのバランスを整えることをすすめています。そのことによって体の中がスムーズに循環し、また、アーマの蓄積を防ぐためにも定期的に体内毒素(アーマ)をデトックスさせることが大切だからです。
アーマを取り除くことは体や心の不調の改善へと導くための最初のステップとし、病気の予防へと進んでいき、体内のバランスを整え細胞の若返りを目指します。
食事をした後、体内で行われる通常のプロセスとして、食べたものは消化させるように行われ、その半分は栄養素として体内に吸収されます。残りの半分は老廃物として体の外に排出されることが理想です。しかし、ストレス・緊張・不適切な環境や食事やライフスタイルがアグニに負荷を与えてしまうと、アーマとして体内に残ってしまいます。
現代社会では、アーマが溜まってしまう生活から完全に逃れることは難しいように思います。今回は本格的なアーユルヴェーダの伝統的なデトックス法やご自身でホームケアとして取り組めるデトックス法についてご紹介させていただきます。
2020.10.29
アーマとは・意味
アーマとはサンスクリット語で「未消化物、毒素」のことです。アーマの「ア」は否定語、「マ」は熟すという意味です。 アーマはボディリ・アー...
2020.09.16
アグニとは・意味
アグニ(Agni)とは消化・代謝のエネルギーのことで、胃内の消化液などが持っているエネルギーです。サンスクリット語で「火」の意味を持ちます。...
アーマが心身に与える影響
アーマが蓄積される主な原因
- 食品による消化不良
- 食品中の農薬や化学物質
- 不適切な食品の組み合わせと選択
- 精神的・肉体的ストレス
アーマが蓄積すると体全体にアーマが広がり、最終的にはより深い組織・臓器に沈着し、各機能障害や病気を引き起こす原因となり、体調不良などに発展してしまいます。
伝統的なデトックス法「パンチャカルマ」
パンチャカルマは、古来から行われてきた究極のデトックス法です。
アーユルヴェーダの代表的な解毒プログラムとされています。
「パンチャ=5つ」「カルマ=行為」の5つデトックス行為と訳されます。
アーユルヴェーダの本場インドやスリランカでは、世界中からこの5つのデトックスを目的とした人々が、アーユルヴェーダの施設に定められた期間滞在し、アーユルヴェーダの医師の問診のもとパンチャカルマを受けています。
パンチャカルマは、前処置・中心処置・後処置というプログラムで構成されているため、症状に応じてアーユルヴェーダ医師の定める日数を要します。普通のアーユルヴェーダの施術とは違い、長期間の時間が必要とされます。
プログラムの各ステップにはそれぞれの目的があり、最終的な目的は3つのドーシャのバランスを取り戻し、人間も持つ本来の自然治癒力を回復するところにあります。体の中の5つの、鼻・口・小腸・大腸・皮膚からデトックスさせることによって、ヴァータ・ピッタ・カパの3つのドーシャのバランスをはかり、体の中を集中的に解毒させていきます。
気軽に受けれる施術ではないため、しっかりとした準備や計画、アーユルヴェーダ医師によるコンサルテーションに沿って行うことになります。
2020.12.18
パンチャカルマとは・意味
アーユルヴェーダの浄化療法で代表的なものとして、「パンチャカルマ」があります。パンチャは「5」、カルマは「行為」という意味があり、病気のもと...
パンチャカルマから得られる効果
- 心と体からアーマを取り除く
- ヴァータ・ピッタ・カパの3つのドーシャのバランスを回復し、健康へと導く
- 免疫システムを強化し、病気に対する抵抗力を高める
- 心と体へのストレスによる心身への不調和を逆転させ、アンチエイジング効果を得る
- 活力やエネルギーを活性させ、思考も明晰さを増す
- 深い癒しを得て健康と幸福感をもたらす
パンチャカルマ中心処置
- 経鼻法(けいび)
ナスヤ(頭部が乱れた場合)
鼻からアーユルヴェーダ薬草オイルを入れて口から出す - 催吐法(さいと)
ヴァマナ(身体上半身が乱れた場合)
下剤を口から飲んで口から吐く - 瀉下法(しゃげ)
ヴィレーチャナ(身体の中心部が乱れた場合)
下剤を口から飲んで下痢させる - 経腸法(けいちょう)
ヴァスティ(下半身が乱れた場合)
お尻からアーユルヴェーダ薬草オイルを浣腸 - 瀉血法(しゃけつ)
ラクタモークシャ(身体の皮膚の部分が乱れた場合)
皮膚にアーユルヴェーダ用のヒルに血をすわせる
自宅でできるデトックス「アーマパーチャナ」
アーマパーチャナとは、アーマを解毒(デトックス)させることです。
自宅でご自分でも行えますので計画を立て、実践することをおすすめします。
季節の変わり目または、毒素が溜まっている症状を自身で感じたときに行うのがおすすめです。
- 春
- 夏から初秋
- 晩秋から冬
デトックスの目的は、健康のバランスを全体的に取り戻すためのものなので、心や体に負荷を与えないためにも、心身が弱りきっているときや何か病気を患っているときには行わないほうがよいとされています。
自宅で簡単にできるデトックス法
- 乳製品は少量にする
- アルコール・カフェイン・喫煙は避える
- 冷たい炭酸飲料は避ける
- 過度に甘い果物を食べない
- デトックスの期間は、肉魚卵は食べない
- デトックス期間は、毎日1.5リットルの白湯を飲む
- スパイスを使う
ターメリック・クミン・コリアンダー・マスタードシードなどを調理に使用する - 苦味(ゴーヤ・ターメリック・ほうれん草・緑黄色野菜)、渋味(豆類・ブロッコリー・じゃがいも)の食品を調理に使用する
- 調理したての温かい食事をする
- 少量のひまし油やごま油は、アーマを排除するのに役立つ(キュアリングが必要な場合がある)
デトックスをサポートしやすい食品
●参考メニュー
- レンズ豆のスープ
- キチュリ(キッチャリともいう)
- 軽めの野菜のスープ
●野菜
ブロッコリー・にんじん・ズッキー二・アスパラガス・芽キャベツ・キャベツ・ほうれん草
●スパイス
しょうが・クミン・コリアンダー・フェンネル
●果物
りんご・梨・ブルーベリー・ラズベリー
●種子・穀類
亜麻仁・ごま、バスマティライス・キノア・大麦
2020.03.05
インドの養生食「キチュリ」の作り方
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デットクス中に最小限とどめるまたは、食べないほうがいい食品
- 動物性の食品(ギーは問題ありません)
- 精製された砂糖や小麦粉の食品
- 缶詰め食品・加工食品・電子レンジ食品・残り物の食品
- 漬物などの発酵食品・揚げ物・アルコール・カフェイン
- チョコレート(砂糖が多く入っているもの)
日中はアグニが最も活性しているので一日で最大の食事を行い、夜は軽めの食事を行うのがよいです。
また、アーユルヴェーダでは毎回の食事に6つの味「甘、酸、塩、辛、苦、渋」を全て摂ることで体が必要とする栄養素が摂取できるとしています。
新鮮な水(お白湯)とジンジャーティーを飲むのもおすすめです。
ジンジャーティーレシピ/作り方
【材料】
- 皮付きショウガ
- お湯
- 生の有機はちみつ(オプション)
- ミントのみじん切り(オプション)
- レモンスライス(オプション)
【作り方】
- ショウガは、皮がついたままスライス。水を沸騰させしょうがを入れて弱火にして 15分程煮込みます。
- 飲みにくい場合は、お好みでオプションを入れて飲んで下さい。
自宅で簡単デトックスセルフケア
心や体のアーマのデトックスを促進し、体内の解毒経路を最適化し慢性的なストレスを和らげます。
- 実行する日時を設定します。
3日間のデトックスには準備と計画が必要となるため それらの時間をスケジュールすることから始めます。休息や若返りに時間がかかるように、身の回りのこととデトックス以外のことは、何も行わないという期間を確保します。 - デトックスを促す食事療法。
食事は野菜中心で新鮮な食材やカロリーの低い食品はデトックスを促します。
白湯(アーマや老廃物を洗い流すため)とジンジャーティー(体を浄化し消化を促すため)を飲んで下さい。 - 激しい運動は控える。
ウォーキング・ヨガ・ストレッチなどがよい。 - 起床はAM6:00~AM7:00、就寝はPM22:00までに行う。
夕食はPM19:00までに済ませる。
日常の忙しさから抜け出して、丁寧に自分の身体と心を休ませることによって軽やかさスッキリさを味わい、心身ともに健康なご自身へと導かれることと思います。
自分自身が本当に求めるものを大切にしてみる
人は生きていると予期せぬ事態や環境の変化に遭遇します。そんなとき最終的に味方となるのは自分自身。自分だけの時間や自分自身に戻れる時間を大切にしてみてください。すべてを避けることが難しい日常なので、定期的にデトックスの時間を持ち、心や体を軽やかにしてあげましょう。
笑って免疫力をあげて、泣いて心のわだかまりとさよならし、読書や音楽に触れ、自分の世界を広げて、丁寧に食事を行い、動物や植物に触れ慈しむことや共存していることを感じる。そんな時間が、自分らしさへと導いてくれ、さらには毒素を溜め込まない健やかな暮らしに繋がるでしょう。
アーユルヴェーダスクール『AYUWEDA』代表取締役
2008年アーユルヴェーダを学ぶ為にスリランカに単身留学。帰国後2009年〜2018年まで在大阪スリランカ名誉総領事秘書と兼任しながらアーユルヴェーダの普及活動に務める。
イベント企画、運営、開催、講師、その他多数メディアにて講師、執筆を行う。
BODYPIT KYOTOにてアーユルヴェーダの施術を行っている。
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