春になると、鼻がムズムズ、目がかゆいなど、花粉症の症状が出始めます。そして、春も本格的に温かくなってくると、花粉症の症状でも咳や気管支系にトラブルを起こしやすくなったり、乾燥も影響して症状が悪化しやすくなったりする時期です。
咳がつらくて寝苦しい毎日を過ごしている人もいるでしょう。また、今は新型コロナウィルスの影響もあり多くの人がとても不安な日々を過ごしていると思います。
春特有の花粉症の悩みやつらさだけでなく、今多くの人が感じている不安は心身のストレスになりやすく、それが体調に悪影響を与えてしまうことにつながるかもしれません。
今回は、春~初夏にかけての特有の悩みや体調の変化、ストレスなどを自宅で緩和するためのヨガ的セルフケア方法をご紹介します。
環境の乱れをセルフケアで整える
春は環境の変化が多く、疲労やストレス、不安感を感じやすい時期です。またコロナウィルスの影響による先行きの不安や、いつも以上に体調管理に神経質になるなど日々心配が絶えません。
こんなときはストレスなど内面的疲労が体に影響し、風邪をひきやすくなったり、普段は感じないアレルギーの症状を感じたり、不眠に悩まされたりしがちです。
ライフスタイルを大幅に変化せざるを得ないこの時期にこそ、早寝早起きという規則正しい生活を行い、心身の健康を維持したいこところです。ですが、まず何をしたらいいか分からない人も多いはずです。
心身を整えたいけれど、やる気が起きない・・・
そんな風に何かを始めたいなと感じているときこそ、ヨガの教えに関連のあるアーユルヴェーダに基づくエネルギーバランスを整える方法を取り入れ、日々健やかに過ごせるケアを取り入れてみましょう。
免疫力低下やストレスへの耐性の差は、適度な運動習慣を取り入れることで心身のバランスが整うなど、セルフケアすることも可能です。
特に、新型コロナウィルスの影響で日本だけでなく世界中に不安が広がる今、外側(社会や自然環境など)を変えることは難しいかもしれませんが、個人ができることがあるとすれば、無理のない範囲で自分の体を整えること。体の不調は自分自身で整えるという「ヨガ」的ケアに基づいた方法を利用してみましょう。
エネルギーバランスをチェックする
春は命が芽吹く季節であり、エネルギーが必要になる季節です。冬眠していた動物が目覚めるように人間にも活力が必要となりますが、冬の時期の過ごし方によっては、基礎体力が落ちエネルギー不足になっていたり、不安定な気温の変動に体が馴染まず体調を崩しやすくなったりすることがあります。
特に気管支に負担がかかるこの時期(春~初夏の季節の変わり目)の咳や痰、喘息症状も、アーユルヴェーダでは冬の間に溜まったカパのエネルギーが溶けてくるタイミングで起こりやすいとされています。
カパのエネルギーの特徴は、冷たい、重い、湿っている、油っぽい、安定。
カパが増大すると体内のあらゆる箇所での分泌が増加します。カパの要素が多い体質になっている人はカパが過剰となり、エネルギーのバランスを崩しやすくなります。
こういうときアレルギーの症状などが鼻に出やすい人は、さらに呼吸がしづらくなります。鼻、喉の調子を整えるためには、冬の間からカパのエネルギーの増大を防ぐケアを行っておくのがおすすめです。
カパが溜まったときの症状
カパが溜まってエネルギーのバランスを崩したときは、頭の重たさ、むくみ、腰のだるさ、鼻づまり、鼻水、気管支炎など、風邪をひいたかなというような症状が現れることが多いです。特に呼吸器に不調を感じやすい方は、風邪をひいてしまうと悪化しやすくなるので普段からの予防意識を強化したいところです。
アーユルヴェーダ的にこれらの症状をケアしていくためにはカパの性質と反対の性質をヨガの運動で取り入れるのがおすすめです。
カパの性質は冷たい・重い・湿っている・油っぽい・安定。
これらの性質と反対であるヴァータの質である冷たい・軽い・乾いている・動きがある・変化の性質を取り入れていきます。
ただし、どちらも「冷たい」性質が共通してますが、アレルギーケアをするときには冷やさないことも大切です。
ヨガ的セルフケアを実践する
それでは、エネルギーバランスを整えるヨガ的セルフケアを一つひとつ見ていきましょう。大切なのは過剰になったエネルギーのバランスを整えることです。
気をつける点として、体を冷やさないこと、適切な食事、適度な運動を取り入れることが大切です。ご自身のライフスタイルに合わせて取り入れやすいものから実践してください。
ヨガ的ケア1.体を冷やさない
日本でも「冷えは万病のもと」といわれるくらい冷えることは花粉症に限らず、心身にとって大敵です。特に温かい季節になると油断して洗髪した髪をそのまま放置していませんか。濡れた髪はすぐに乾かすようにしましょう。
また可能であれば、朝風呂で体を温めることも効果的です。体の循環もよくなり、鼻のとおりもよくなります。ただ、湯冷めには注意し、しっかりと湯船に浸かるようにしましょう。
ヨガ的ケア2.鼻うがい
鼻うがいをご存じですか?鼻の穴から喉を洗浄し、口から吐き出す方法で、ヨガやアーユルヴェーダの世界では健康のための道具として日常化しています。ネーティポットという鼻洗浄用の道具も売っていますので、興味があれば購入し使用してみましょう。
【鼻うがいのやり方】
体温よりも少し暖かい生理食塩水のお湯を使用します。
0.9パーセント程度の食塩湯で、温度は38度くらいにします。水のままで行うと、浸透圧が低く鼻が痛くなりやすので注意が必要です。
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ヨガ的ケア3.軽い運動習慣を
呼吸がつらいと生活にも支障をきたします。そして、どうしても薬に頼ってしまいがちです。お薬に頼りながらも自分にあったケア方法を見つけることも大切です。
軽やかで活発な動きのあるヨガのポーズや軽いエクササイズを取り入れて、カパの浄化を促し、エネルギーバランスを整えましょう。
呼吸器トラブルや風邪の症状に効果的なヨガ方法
著者撮影
それでは、ヨガのアーサナ(ポーズ)を使った効果的な方法を見ていきましょう。
アーサナを行うときはすべて鼻呼吸で行いますが、鼻づまりの症状がつらい場合は、口呼吸でも構いません。
その場合は、喉の乾燥に注意するため、うがいをする、または水分を軽くとって喉を潤した状態で行ってください。
呼吸はリラックスした状態で深くゆっくり呼吸するように意識しましょう。特に吐く息を長くするようにすると、呼吸が深まります。
楽なねじりのポーズ
アレルギーや風邪など呼吸器や喉トラブルを起こしやすいときは、浄化力(自然治癒力)を高めましょう。最適なのは体をねじって活性化させること。ただし、呼吸が苦しいときにねじりのアーサナ(ポーズ)は少しつらい場合もあるので今回は楽な姿勢で行えるものを試してみましょう。
- 仰向けに寝て両腕を左右に伸ばし、手のひらは下へ向けましょう。
- 膝を曲げて、両脚は閉じていきます。
- 息を吸います。
- 息を吐きながら、両膝が離れないように右側へ倒します。お尻を押し出すようにして、左体側から腰までが伸び、気持ちよくねじれる位置を探します。
- 上半身は反対側へ捻るようにし、顔は左を向きます。
- 息を吸いながら膝をもとの位置に戻します。
- 息を吐きながら両膝を左側へ倒し、上半身は反対側へねじりましょう。
- 交互で1セットとし10セット程度行っていきましょう。
片脚前屈のポーズ
深い呼吸を促し、副交感神経を優位にすることによって心身をリラックスさせるポーズです。
- 床に座り、両脚を伸ばしたら、右膝を曲げて脚の裏を左脚の内側に置きます。
- 息を吸います。
- 息を吐きながら状態を脚に近づけるように前屈します。
- つらい場合は伸ばした脚の膝を曲げて姿勢を楽にしましょう。
- 背中が丸まっても構いまわないので、なるべくお腹と太ももを近づけ首の力を抜きます。
- 上半身の重みを利用してポーズをキープします。
- 深くゆっくりと呼吸をしながら、10〜15呼吸適度キープします。
春~初夏の時期のトラブルにはヨガを活用しよう
ヨガがストレッチやエクササイズと違うのは、呼吸を深くしっかりとしながら動くことを大切にしているところです。
現代人は呼吸が浅く、体の隅々まで酸素が届きづらいといいます。ヨガの動きに合わせながら深い呼吸を促していくと、自律神経が整い免疫力も活性化させると、ヨガではいわれています。
調子が悪くなったら病院に行くことはとても大切なことです。しかし、なんとなく調子が悪いかな、このままだと体調を崩しそうだなと感じるときに、事前に自分でできるケア方法を知っておくことや、実践する習慣を持つことは日々を健やかに過ごすためにもとても大切なことです。特にこの時期にトラブルを起こしやすい人にとっては、セルフケア方法を知っておくことが安心にもつながります。
現代医療と上手に関わりながらも、自分の体を知り、セルフケアをする習慣を身につけ、自分自身の心身と上手に付き合っていきましょう。
ヨガポーズ画像:著者撮影
「マナヨガ」代表。20代の頃、ストレス過多で喘息が再発。心身の調和こそ健康だと痛感し、ヨガセラピーを学び始める。また姿勢と歩き方から改善し楽な体へと整える“マナメソッド”を発案。現在、名古屋、東京を行き来しながら本来の自分らしさを引き出すレッスンを行う。フルオーダーメイドで作る個人レッスンは、キャンセル待ちが出るほど定評がある。
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